『おむすび』2024年のエピソードを総括 “ギャルマインド”が意味していることとは?
『おむすび』神戸編でこそ「ギャルマインド」が発揮されていた
だが、結のギャル魂が真価を発揮したのは、むしろ「ハギャレン」メンバーから離れた神戸編に入ってからだろう。ギャル文化の勢いがなくなり、つるんでいたギャル友達と離れても、自らの意志でギャルを貫いている。 さらに、高校の時からずっと金髪に憧れていた結だったが、就職活動をきっかけに黒染めをした。リクルートスーツに身を包み、いわば世の中の常識で画一的な姿を強いられ、ギャルファッションを取り上げられることになったが、結は変わらなかった。ここであらためて「ギャルはファッションだけではなく、マインドの話」というメッセージを打ち出していたように思う。 そして、ギャルマインドは、性別や年代関係なく、あらゆる人の心に宿っている。ハギャレンを創設した歩(仲里依紗)、神戸に戻ってふたたび床屋を始めた聖人、自らの意志で農業や床屋を手伝う母・愛子(麻生久美子)、そして靴職人としてのプライドを持ち直し、ギャル靴のカスタムで大忙しの孝雄(緒方直人)ーー。好きなことに一心に打ち込む彼らは、結や歩に言わせてみれば、みんな“ギャルマインド”を持っているのだ。 『おむすび』は年末年始の休みを挟み、1月6日から放送を再開する。翔也にプロポーズの予告のようなものをされ、人生の駒を一気に進めそうな結のその後も気になるが、あと2年後に迫った東日本大震災をどう描くかが、今後の焦点になるだろう。当時は筆者も関西に住んでおり、大きな被害はなかったものの、テレビで見たあの光景は忘れられない。 厳しい時代の中で、結はギャルマインドを貫き通すことができるのか。そして『おむすび』はどうギャルを描ききるのか。いまを生きる者の一人として、今後も結たちの物語に注目したい。
明日菜子