“ランドセルのプロ”が、最新の技術から「ラン活」まで解説する『ランドセルくらぶ研究室』をスタートした理由
日本における小学生のシンボルであるランドセル。現在では「ラン活」という言葉に代表されるように、ランドセル商戦が活発化するとともに、ジェンダーレス化の流れの中でカラーリングも多様化するなど、さまざまな変化が生まれている。 また、教科書のタブレット化が進むなかでも、教材など荷物の重さが問題となり、「ランドセルが重い」「なぜもっと軽くならないのか」という声も上がるようになるなど、ランドセル選びやランドセルそれ自体に対する情報へのニーズも高まっている。 そうしたなかで、一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会が、ランドセルのトレンドから豆知識まで、さまざまな情報を分かりやすく解説する『ランドセルくらぶ研究室』をスタートし、YouTubeやTikTok、noteなどで情報発信を行っている。 そこで今回、一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会に所属し、『ランドセルくらぶ研究室』に出演している村瀬鞄行の村瀬靖人さんに、取り組みを始めたきっかけから、現在のランドセル事情、今後の取り組みまで伺った。
ネットで広がる「ランドセル情報」に対する危惧
ーはじめに、御協会が『ランドセルくらぶ研究室』を開始した経緯について教えてください。 私たちは、一般社団法人日本鞄協会に属していて、日本製のランドセルに関わるカバンの材料業、製造業、卸売業が集まった団体です。 ランドセルは日本の文化であるとともに、職人の技術も絶やしたくないという思いから、啓蒙活動を行っています。 もともとランドセルに関する情報は、工業会自体ではなく、各メーカーや販売店がそれぞれ自発的に発信していました。しかし、インターネットの普及により、個人やアフィリエイター等がブログやSNSで容易に情報を発信・拡散されるようになった時代のなかで、ここ数年、間違った情報が一人歩きをしてしまい、それを受け取ったユーザーさんが、それを正しいと認識してしまう状況を目にするようになってきました。 それに対して協会に所属している企業も危機感を持つなかで、一つの会社が意見をしても「自社のPRではないか」と思われてしまいかねません。そこで、協会として正しい情報を発信する必要があるということで、『ランドセルくらぶ研究室』を2024年1月からスタートしました。