巨人の異例新人全員2軍キャンプ方針は正解か?
プロ野球の各チームの新人合同自主トレも、第二段階に突入、今春キャンプの1、2軍の振り分けが決まりつつある。ソフトバンクのドラフト1位・田中正義投手(創価大)、ロッテの佐々木千隼投手(桜美林大)ら、即戦力と評判の高い選手の1軍キャンプ抜擢の報が次から次へと届いているが、巨人だけは異例の全員2軍スタート(3軍も)を決定。高橋監督は「球団の方針もあって全員下からになりました」と、フロント主導の決定であることを説明した。 昨季は、ドラフト1位の桜井俊貴投手(立命大)と2位の重信慎之介外野手(早大)、7位の中川晧太投手(東海大)の3人を1軍キャンプでスタートさせた。重信は開幕1軍メンバーに抜擢されたが、オープン戦も打率1割台で終わるなどプロのレベルに対応できずに、わずか1打席立っただけで2軍落ち、桜井も1試合投げただけで、右肘に異常が発生して戦力にはならなかった。昨年の失敗を糧にフロント主導で全員2軍キャンプが決定された模様だ。 また若手育成に定評のある日ハムも、米国アリゾナで行う1軍キャンプに帯同させる新人は、ドラフト2位の石井一成内野手(早大)一人だけ。1位の堀瑞輝(広島新庄高)はもちろん、高良一輝投手(九産大)、玉井大翔投手(新日鐵住金かずさマジック)らの大学、社会人出の投手も2軍スタートとした。 一人でも新戦力を加えたい現場の指揮官にとっては、スカウトの即戦力評価のあるドラフト上位は1軍キャンプに呼び、自分の目で見極めて使いたいと考えるのだろうが、トータルで見て新人を成功させるためには、1軍キャンプ抜擢か、2軍キャンプか、正解はどちらなのだろうか? 元千葉ロッテの里崎智也氏は、「2軍の育成システムと、1、2軍の連携がうまくいっている球団ならば2軍スタートがベストでしょう」という意見だ。 「新人で怖いのはオーバーペースでの故障です。プロのペースがわからず、1軍でマスコミの注目が集まると、どうしてもアピールしようと無理をしますからね。また1軍では、新人選手は必要以上に気を使うことになります。体のケアにしてもトレーナーの人数も限られていますから、どうしても主力、ベテラン選手が優先となり、新人への細かいフォローは難しくなります。2軍だと逆にルーキーへの目は行き届きます。 2軍の育成、指導の体制が、しっかりとしていて、サインプレーなどプロで覚えるチームルールも含めて、1、2軍でやることが同じならば、プロの水やペースに慣れる意味でも2軍でスタートした方がいいでしょう。また巨人やロッテのようにキャンプ地も、1、2軍が一緒のチームも多いですから、1軍にこだわる必要はないと思います。ただ、1、2軍の連携、信頼関係が薄く、1軍と2軍でやっていることが違うとなると、少し話は違ってきますが」