“横浜家系ラーメン”、激しい出店戦争が勃発か。フードコートさえもラーメン店の“激戦区”に
「不動産事業を持つ」ガーデンの競合優位性
「壱角家」は乗降者数20万人以上のターミナル駅を中心として、駅前立地にドミナント戦略を展開しています。 飲食店の出店戦略には不動産情報が欠かせません。その有力なシステムが「レインズ」。国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムで、通常は不動産会社が登録をして利用します。 ガーデンは不動産事業を展開しているため、レインズに直接アクセスすることが可能。不動産事業を持たない競合他社と比較して短時間での情報取得、下見、出店戦略の練り込みなどを行うことができるという特徴があります。 また、「飲食店居抜き買い取り.com」というサイトを展開しており、個人オーナーが撤退する際の売却サポートも行っています。市場に出回る前の物件情報を獲得することも可能なのです。 東京商工リサーチは2024年1月から9月までのラーメン店の倒産が前年同期間比42.4%増の47件となり、集計開始以降で最高になったと発表しました(「2024年1-9月のラーメン店倒産」)。人件費や水道光熱費、食材費が高騰して個人店は苦戦しています。廃業を検討する事業主が増えるのであれば、その土壌にタネを撒いていたガーデンに有利に働くかもしれません。 ガーデンは居抜き物件で効率的に出店する戦略を採用。それに紐づいた戦術までが行き届いていると言えるでしょう。
直営店事業とプロデュース事業の2軸で成長
一方で「町田商店」のギフトは、2024年10月期から始まった中期経営計画にて、人口集中エリアでの直営店出店強化を掲げました。 ギフトはユニークなビジネスモデルを採用しています。直営店事業とプロデュース事業の2軸で成長しているのです。プロデュース事業は、通常のフランチャイズ事業と異なり、加盟金やロイヤリティが発生しません。プロデュースサービスを利用した店舗オーナーは、自由に屋号をつけることもできます。ただし、ギフトグループの食材やスープを継続的に購入するというビジネスモデル。プロデュース店は地方を中心に出店を重ねる方針です。 ギフトの2024年7月末時点の直営店は212店舗。プロデュース事業は558店舗。それ以外に業務委託店とフランチャイズ加盟店がありますが、数は多くありません。 営業利益率が高い要因の一つに、このプロデュース事業の存在があると考えられます。出店費用や負担が重くなりがちな人件費を抑えることができるからです。 しかし、ギフトは事業拡大に関連する指標として「売上成長率」を重視しており、20.0%以上という高い目標を掲げています。 ギフトのプロデュース店は全体の7割を占めますが、直営店事業の売上は8割を超えます。そのため、ギフトは直営店の出店を強化しており、直営店の売上構成比率も少しずつ増加しました。 つまり、駅前や繁華街などでギフトの「町田商店」とガーデンの「壱角家」が激しく争う未来も見えてくるのです。