将来の寝たきりを防ぐ!「フレイル」と「整形外科疾患」の相互関係を理学療法士に聞く
骨折や変形性膝関節症の発症リスクは年齢を重ねるにつれて上昇しますが、加齢により生じる虚弱状態「フレイル」と関係があるのでしょうか。また、「ロコモティブシンドローム」とはどのような状態のことを言うのかも気になるところです。 それぞれを予防することで、健康寿命を延ばすことができるのか、また、実際にはどのような予防行動が必要なのでしょうか。鹿児島大学教授で理学療法士の牧迫飛雄馬さんに教えていただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
ロコモティブシンドロームと整形外科疾患について学ぶ
編集部: フレイルと整形外科疾患の関係について教えてください。 牧迫さん: フレイルの多面性のなかでも身体的な側面については、その背景に整形外科疾患が関連していることが多くあります。 例えば、変形性膝関節症があると、痛みなどで活動量の減少し、これらの症状が長期間に至ると筋肉量の減少も生じてしまい、身体的なフレイルを発生させてしまいます。このように、整形外科的な疾患はフレイルの要因となることも少なくありません。 一方、フレイルが進行すると転倒・骨折の危険が高まったり、整形外科的な疾患を発症するリスクを増大させてしまったりすることにもつながります。 編集部: ロコモティブシンドロームとはどのような状態を言うのですか? 牧迫さん: ロコモティブシンドロームは、加齢に伴う筋力の低下や関節・脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりのリスクが高い状態を指します。 日本整形外科学会が提唱した言葉で、運動器症候群とも言われ、馴染みやすく「ロコモ」と略することも多く、国民への周知も促されています。 編集部: ロコモティブシンドロームとフレイルとの関連や違いは何ですか? 牧迫さん: ロコモティブシンドロームとフレイルのいずれも、関節や筋肉、骨など、体の動作のために必要な器官である運動器の加齢による機能低下に関わります。また、いずれも高齢期における要介護や寝たきりを招いてしまうリスクのある状態をさします。 ロコモティブシンドロームは運動器の衰えを原因とする機能低下を重要視していますが、フレイルは運動器だけでなく、全身状態ならびに精神・心理的な機能の低下や社会的な問題も含む概念として使われます。