AIの電力需要で公益事業株に脚光、大型ハイテク銘柄に代わる存在に
(ブルームバーグ): テクノロジー業界の人工知能(AI)への注力が電力需要に拍車をかけている。公益事業銘柄のリターンを膨らませ、S&P500種株価指数の構成セクターに対する従来の認識が揺らいでいる。だが、ウォール街はこの動きがまだ続くとみている。
AIのおかげで公益事業株は年初来で相場けん引役の一角となっているが、その中でも独立系電力会社ビストラとコンステレーション・エナジーの株価はここ1カ月で飛躍的に上昇した。コンステレーションがマイクロソフトに原子力発電による電力を供給するという画期的な取引が要因だ。ビストラはヘッジファンド運営会社サード・ポイントのダニエル・ローブ氏の一押し銘柄で、AIに絡む潜在力が評価されており、株価は年初来で220%余り上昇。エヌビディアの165%高を上回り、S&P500種構成銘柄の首位となっている。
コンステレーションは約130%高で4位につけており、電力会社のNRGエナジーや発電設備を手掛けるメーカーのGEベルノバもトップ10に入っている。昨年は半導体メーカーやサーバーメーカー、メタ・プラットフォームズのようなAI株が上位を独占していた。
トータス・キャピタル・アドバイザーズのマネージングディレクター兼ポートフォリオマネジャー、ロブ・サメル氏は「公益事業企業に加わったのは、この成長要素だ。つまりAIと電力の必要性、さらに重要なのは、かなり大幅な電力成長の可能性だ」と指摘。「AIへの割安な投資方法を模索している投資家は、割高なテクノロジー株を買う必要がないことに熱狂している」と述べた。
当初のAI勝ち組銘柄に対する警戒感が強まり、大手テクノロジー企業が投じるAIへの多額の資金がいつ実を結ぶのかが疑問視される中、公益事業株が大幅な上昇を遂げた。AIブームを後押しするツールを提供するエヌビディアなどの企業が最も明白な初期の勝者だ。しかし、どの企業が半導体を使用し、あるいは最高のAIソフトウエアを開発するかにかかわらず、最終的にはどの企業もさらなる電力を必要とするだろう。