ゲームも書籍も「バリアフリー」が重要に 「車いすの哲学者」近藤銀河さんが初の単著執筆で考えたこと
気軽にゲームを作って広がる世界
――この本ではゲームをやるだけではなく、自分でゲームを作ってみることも勧めています。 近藤:紹介したゲームの中にはフェミニストやクィアの手による作品も多く、ゲームを作ることは大きな可能性を持っていると考えています。大手ゲームメーカーが多額の予算をかけた大作だけがゲームじゃないですし、5分くらいで遊べるようなものをみんなが気軽に作れば、もっと世界が広がっていくと思っています。 本の中ではゲームを作り、公開するための方法も紹介しています。その方法を使って、私も本の内容を紹介するゲームを作りました。 ――8ビットの懐かしい感じのグラフィックで、プレイヤーが猫の姿、近藤さんは車椅子で描かれているのが素敵でした。 近藤 車椅子の人と、健常な二足歩行している人というふうにしたくなかったので、じゃあ猫にしよう、という(笑)。ぜひみなさんも猫になってもらえたら。 この本を通して、フェミニストやクィアな人たちがゲームに興味を持ってくれたらいいなと思いますし、ゲームやってる人たちがこういう視点があるんだと気づいてくれるのもうれしいです。もちろん、まだどっちにも興味がない人が読んでもいろんなことが学べると思うので、ぜひたくさんの人に読んで、そしてゲームをやってほしいですね。 <近藤銀河(こんどう・ぎんが)さんプロフィール> 1992年生まれ。アーティスト、美術史家、パンセクシュアル。中学の頃にME/CFSという病気を発症、以降車いすで生活。2023年から東京芸術大学・先端芸術表現科博士課程在籍。主に「女性同性愛と美術の関係」のテーマを研究し、ゲームエンジンやCGを用いた作品を発表する。ついたあだ名が「車いすの上の哲学者」。ライターとして雑誌「現代思想」「SFマガジン」「エトセトラ」、書籍『われらはすでに共にある─反トランス差別ブックレット』『インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド─ゲームの沼』など寄稿多数。本書が初の単著。 (文:小沼理)
朝日新聞社(好書好日)