「息子の全てを奪った…」逆子の手術後に胎児に「脳障害」医療ミスで3歳のわが子はしゃべることできず…栄養は『胃ろう』母親の苦しい胸中「医師は逃げるかのように病院を辞め許せない」
何度も訴えた「帝王切開」執刀医は拒否…出産後のわが子“新生児仮死”状態
2日間にわたり経過観察が行われました。その期間、看護師からは「赤ちゃんは本当にしんどい状況で、今すぐ帝王切開したほうがいい」と伝えられ、わが子の不安な状況に千鶴さんは執刀医に何度も帝王切開での手術に切り替えるよう訴えました。 しかし執刀医は「その選択肢はない。あなたは今は張り止めを飲んで、お腹の張りを抑えるのが第一前提で、そこからおなかの赤ちゃんは大丈夫になっていくから一週間後に退院するのを考えている。僕は帝王切開をしない」と切り替えを拒んだということです。 そんな中、こうした状況を危惧した別の医師が帝王切開の手術を行い、宝くんが生まれました。しかし、宝くんの後頭部にはあざのようなものがあったということです。宝くんは呼吸不全による“新生児仮死”状態で脳の約9割の機能を失い重度の障害が残りました。
歩くことやしゃべることもできず…栄養は『胃ろう』
宝くんは今年で4歳になる年ですが、障害の影響から、首や腰がすわっておらず歩くことやしゃべることができないといいます。 (千鶴さん) 「全介助なので大変なことはすごくあるのですが、ちょっとした幸せを感じられる存在です。(宝くんは)基本的に首も腰も座っていなくて歩くこともしゃべることもできないです。口から少しご飯を食べることはできるんですけど、基本的に栄養はお腹に穴をあけた『胃ろう』の手術をしたので、ここのお腹から水分や栄養を注入して。基本的に全介助なので、排泄だったり便も自分で出すことができないので、こっちがてつだって便を出してあげたりとか」 本来の3歳、4歳児であれば、好きなものを自分で見つけて、好きな場所に行って、公園や外で走り回ったり遊んだりすることもできますが、今はどこへ行くにも抱っこをして移動しないといけない状況だといいます。この先、身体が大きくなった時にどうしていこうか、日々不安も募るといいます。
病院の検証結果 今回の手術は医療事故「2回目の施術と帝王切開の遅れが脳障害発生させた」
千鶴さんらは病院側に対して、外回転術の手術に関して調査を依頼。2021年10月ごろ、第三者の医師による検証結果を交えた調査報告を千鶴さんに行いました。病院側は宝くんに脳への障害が残ったことを「医療事故」と認めたうえで、報告書の中で次のように言及しました。 (病院側の報告書より) 「本件の医療事故は1回目の外回転術施行以後、胎児の状態の評価を誤った結果、2回目の外回転術を施行してしまい、更には、緊急帝王切開も遅れることとなって、宝くんに少なくともより重い障害を発生させたと評価されました」 また、「『外回転術』から遅くとも3時間後には緊急帝王切開を行うべきであった」2回目の施術後の経過観察について、「早期に緊急帝王切開を実施すべきであったとの結論に至りました」と医療過誤を認めているということです。 MBSの取材に対して病院側は「本件につきましてはすでに医療過誤があったことを認めており、申し訳なく存じております。また、病院として深く受け止めており再発防止に努めております」とコメントしています。
千鶴さんら 医師への告訴状を京都府警に提出
そして7月12日、千鶴さんは執刀医が適切な医療措置を怠ったとして、業務上過失傷害の疑いで京都府警東山警に告訴状を提出しました。 また、執刀医はすでに退職し 別の病院で働いているということです。千鶴さんは医師への憤りをあらわにしました。 (千鶴さん) 「息子の人生をすべて奪ったにもかかわらず、逃げるかのように病院を辞めた後、何も生活も変わることなく生きていること自体、心苦しく思います。またそこの病院で判断をミスして、また宝と同じようなミスをしてしまうのではないかという不安な気持ちもあります。自分のやってしまった罪の重さを理解して裁きを受けてほしいですね」