「シーイン」で買い物に罪悪感? 「WWDJAPAN」がZ世代の若者心理を解剖するセミナー
本セミナーの面白さの一つは、実際に都内在住のZ世代の若者5人が登壇し、生の声を聞かせてくれたこと。第二部では、彼らと村上編集長がディスカッションした。特にサステナビリティの問題については、村上編集長が「ぶっちゃけ、『シーイン』で買い物するってどう?」と切り込む場面も。青山学院大学のファッションサークルに所属する塚本香乃さんは「利用する」と罪悪感をにじませつつ、「下着や靴下などの消耗品は、使えるお金に制限がある学生だと、よほどでない限り高級品を買うのは難しい。同社の労働環境問題を知っているので、複雑な思いを抱いているが、利用せざるを得ない実情もある」と吐露した。一方、上智大学を卒業して現在は社会人として働く樋口栞那さんは「自分の周りには、口コミをしっかり見て、長く使うことを前提に買い物する友人もいる。必ずしも“ファストファッション=悪”ではないのかもしれない」と前向きに捉えた。
ウィゴーに学ぶ、Z世代の見つめ方
第三部のテーマは、「企業はどのようにZ世代と交流を深めているのか」。ウィゴーの増田達哉PR販促部編集チームマネージャーがゲスト出演し、同社を精力的に取材する木村和花記者がファシリテーターを務めた。増田マネージャーは、「ウィーラボ(WE LABO)[ヒト・コト・モノ・バ] 研究所」のリーダーであり、“界隈”と呼ばれる若者のマイクロトレンドを追う人物。「ダンサー界隈や地雷界隈など、“界隈”ごとに調査すると、人気スポットもバラバラだとわかる」と、“Z世代”と大きくグルーピングすることの危うさを示唆した。また、調査をもとに、特定の集団に刺さる新たなアパレルブランドやSNSアカウントを立ち上げているといい、それを受けた聴講者からは「どうやってZ世代とコミュニケーションをとるのか?」「“界隈”の規模の計測方法は?」のように次々と質問が寄せられた。
セミナー終了後は、聴講者と都内大学に通うファッションサークル所属の学生約40人によるミートアップを実施。ドリンク片手に、世代間の価値観の違いなどについて活発な意見交換がなされた。