「指導者が最もやってはいけないのは…」原晋監督が明かした“エース”の作り方…箱根駅伝の常勝軍団・青学大で徹底された“平等感”のヒミツ
今年も箱根駅伝が開幕する。前回大会で駒澤大から王座を奪還した青山学院大は、どのような王者の走りを見せるだろうか。 【秘蔵写真】はしゃぐ原監督に叫ぶ大八木前監督!“茶髪サングラス”で2区を走ったエース、柏原・神野ら山の神に黒縁メガネの大迫傑も…箱根駅伝スターの名シーンを一気に見る(90枚超) 率いるのは原晋監督(57歳)。かつて予選会突破が目標だったチームは、なぜ常に注目を集め続ける強い集団に成長したのかーー。その秘密を解き明かす、原監督著『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム刊)から、「チームには『平等感』が必要だ」の章を抜粋して紹介します(全3回の2回目/#3につづく)。 ◆◆◆ チームを強くするには、エースという存在が必要です。ほかの部員はエースから強豪チームと戦える自信をもらい、少しでもエースに近づこうと努力することでチーム全体の力が上がります。ビジネスの世界でも、エースと呼ばれる営業マンやエンジニアがいることで組織が活性化し、その結果、業績アップにつながります。 そうしたチームや組織を引っ張るエースを育てるのも、指導者の役割の一つです。
エースをつくるには、「平等感」が不可欠
では、エースを育てるにはどうすればよいか。 私はエースをつくるには、「平等感」が不可欠だと考えています。 それは、決して仲良しグループをつくろうとしているのではありません。選手が同じスタートラインから切磋琢磨できる環境を整えるということです。そこで一生懸命に努力するそれぞれの姿を通して、結果的に生まれてくるのがエースといわれる選手だと思います。そうやって出てきたエースは、部員全員に認められる存在になります。 例えば、4人の同期がいて「大学4年になったときには箱根駅伝で優勝しよう」と切磋琢磨して、その中の一人がエースと呼べる力を発揮し始めたら、他の3人は「あいつがエースだな」と認めるはずです。そういうエースが真ん中に立つチームには本当の強さがあると思います。
「指導者が最もやってはいけないのは…」
一方で、指導者が最もやってはいけないのは、選手同士が切磋琢磨する前に、その時点で高い能力を持つ一人を「お前がエースだ。お前を中心にチームをつくっていく」と決めてしまうことです。 会社に例えるなら、入社試験の成績が最も良かった社員や有名大学卒の社員に対して、入社のときに「君は将来の幹部候補生だ」と特別扱いするようなものです。まだビジネスの現場で力を発揮してもいないその人は勘違いするでしょう。同時に、その社員の同期は「出世するのは、どうせアイツだから、努力しても意味がない」とやる気を失ってしまいます。
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