2018年の日本政治を振り返る~目立った安倍政権の政治手法
●自民党総裁選
9月20日には自民党総裁選が行われた。 今回の総裁選は、405票の国会議員票と、同じく405票の地方票によって争われた。地方票は全国の党員・党友(104万人)による投票であり、各候補の得票を全国規模で集計し、その得票割合に比例して、405票を各候補に配分するものだった。 国会議員票については、安倍首相は早いうちから細田派、麻生派、岸田派、二階派、石原派と主要派閥の支持を得ており、最低でも7割の得票は確保していた。一方、この総裁選は安倍政権の信任投票という意味もあったため、安倍首相が地方票でどの程度獲得できるかが注目された。森友・加計学園問題に象徴される安倍首相の政治手法に批判的な声も地方には相当あったと考えられたためである。 投票の結果、国会議員票は安倍首相が329票、石破元幹事長が73票で、地方票は安倍首相が224票、石破氏が181票だった。合計で安倍首相が553票を獲得し、254票を得た石破氏を破り、3選を果たした。 地方票405票の割合は、安倍首相が55.3%、石破氏が44.7%。安倍陣営が最低ラインとしていた55%はかろうじて上回ったが、国会議員票で安倍首相が得た割合(81%)からは大きく下回った。安倍3選はほぼ既定路線だったとはいえ、石破氏が善戦したといえる。
●沖縄県知事選
9月30日には沖縄県知事選が行われ、玉城デニー氏が佐喜真淳氏を破り当選した。与党が総力を上げて応援した佐喜真氏が敗れ、米軍普天間飛行場の辺野古移設反対を旗印としてきた玉城氏が勝利したことは、沖縄県民が辺野古移設に対して突きつけた異議の大きさを物語っている。 しかし政府は、移設を進めるべく12月中旬に辺野古沿岸部への土砂投入を開始した。2019年2月には移設の賛否を問う県民投票が予定されている。国と沖縄県の対立は続いている。
●臨時国会
10月下旬には臨時国会が召集された。ここで大きな争点となったのは出入国管理法(入管法)改正案である。この法案の柱は「特定技能」という新たな在留資格を創設することであり、その目的は、少子高齢化による人手不足の中、外国人労働者の受け入れを拡大することである。安倍政権は本法案が「移民政策」であることは否定しているとはいえ、これまで認めてこなかった外国人単純労働者の受け入れにも門戸を開くものであり、大きな政策の転換であるといえる。 安倍政権は本制度を2019年4月から導入することを目指した。しかし、この法案の条文では外国人労働者の受け入れ上限数など制度の詳細が明らかになっていなかったことから、重要法案なのに審議が拙速だとして野党が強く反対した。しかし与党は衆参両院で採決を強行し、同法は12月8日で可決成立した。