「本当の俺のことは誰も知らないんだ」谷中敦だけが気が付いたジョン・レノンと奥田民生の“共通点”
「やっぱり民生さんの歌声は人を興奮させるんですよね」
――思い出に残っているライブはありますか? 谷中 大阪だったかな、「美しく燃える森」を初めて観客の前で披露した時の熱狂はすさまじかったです。やっぱり民生さんの歌声は人を興奮させるんですよね。あらためて感じました。 2010年、スカパラの20周年ライブを両国国技館で行った時は、アンコールのサプライズゲストとして民生さんに出てもらいました。民生さんが登場した時の爆発するような盛り上がりも忘れられませんね。 と同時に、スカパラと同じ黄色いスーツで出てくれたんですけど、出てくるなり「ゲッツ!」のポーズをして、スカパラのステージでそれはやめてほしいと思ったのも覚えてます(笑)。お父さん、恥ずかしいからやめてっていう、家族みたいな気持ちでしたね。
――11月16日に行われるスカパラの35周年ライブ「スカパラ甲子園」にも民生さんは参加します。大事な場には欠かせない方なんですね? 谷中 スカパラにとって特大の人なんですよ。僕自身にとっても、民生さんに歌ってもらった曲はいまだに面白い歌詞が書けたなと思える楽曲なので。民生さんと一緒にできるのは、それだけで幸せなことですし、スカパラの節目にはこれからもずっと歌っていただきたいなと思ってます。
長く音楽を続けられる秘訣
――民生さんも、スカパラのみなさんも、長く音楽を続けられているのは、きっと音楽に飽きてないからですよね? 谷中 そうですね。なんだかんだ言って、民生さんも真面目に音楽と向き合ってきた方ですけど、真面目に向き合いすぎないことが大事なのかなって。頭の中が音楽だけになってしまうと、飽きが来る気がするんです。だから遊びを加える。 僕もそうですね。もちろん真面目にやるし、努力もするけど、どこかしら遊びの感覚を持っていないと、マイナスの方向に加速してしまうこともある。だからゆとりを持つっていうのかな。ある程度ちゃらんぽらんな自分を受け入れてあげることが大事ですよね。 集中することも、僕は諸刃の剣だと思っていて、集中と中毒には似たところがある気がするんです。たとえば楽器の練習に集中して、練習以外のことはしたくないみたいになってしまうのは、あまりいいことだと思えない。僕はそれを“集中毒”と呼んでいます。ひとつのことを考えていれば、他のことを考えなくて済むという、逃げでもあるじゃないですか。 ――たしかにその通りですね。 谷中 すると、「あんた、また仕事に逃げてるの?」って家族に言われたりして(笑)。それだけになってしまうと、それがうまく行かなくなった時に、すべてなくしてどこかへ消えてしまおうと思ってしまうかもしれませんよね。 そうならないためにも、遊びの感覚やちゃらんぽらんな部分を、自分の常備薬としてつねに持っておく必要があるのかなって。民生さんが意図的にそうしているのかわからないですけど、真面目さとユーモアのバランス感覚はどこかで取ってるんじゃないですかね。 ――それはもはやミュージシャンとしてどうかというより、人としてどう生きていくかの話ですね。 谷中 そうだと思います。音楽の魅力って人の魅力ですから。魅力ある人の音楽は、やっぱり面白いですよね。 写真=三浦憲治 ◆◆◆ 奥田民生ソロ30周年記念写真集『タミオグラフィー』が予約受付中です。ライブ、数々のミュージシャンとの共演、さらには楽屋やスタジオでの姿など「人間・奥田民生」が垣間見える秘蔵写真満載の一冊です。写真集をご購入頂いた方は、無料でポスターをプレゼントする特典もご用意しております。詳細は こちら からご確認下さい。 《奥田民生ソロ30周年記念写真集特設サイト》 https://bunshun.jp/feature/ot30th
門間 雄介