「本当の俺のことは誰も知らないんだ」谷中敦だけが気が付いたジョン・レノンと奥田民生の“共通点”
「流星とバラード」は曲が歌い手を呼んでいた
――「美しく燃える森」の8年後、2010年に再びスカパラは「流星とバラード」で民生さんとコラボレーションを行います。どういう経緯でしたか? 谷中 あの時は曲が呼んでたんじゃないかな? メロディーができたあと、これは民生さんに歌ってもらうのがいちばんいいんじゃないかっていう意見がメンバーから出て。それで民生さんに合わせて、僕が詞を書きました。 ――「流星とバラード」はどんなイメージから歌詞を書きましたか? 谷中 メロディーから感じられるイメージを一生懸命スケッチした覚えがありますね。難しい曲なんですよ。「タッ、タララ」で始まるんですけど、「タッ」の部分にどんな言葉を入れればいいのかいろいろ悩んで、最終的に「さっきまで」になったんです。 ――8年ぶりに共同で曲作りをした、その時の印象はどうでしたか? 谷中 印象的だったのはミュージックビデオを撮影した時のことですね。撮影中に民生さんが、「スカパラと一緒に音楽をやると、音楽をちゃんとやれって言われている気がする」と話していて、珍しく殊勝なことを言ってるなと(笑)。へえ、そういうことも言うんだなと思いました。とはいえ、「いつも真面目にやってますよね?」って聞くと、「そりゃあやってるよ」って答えが返ってくるわけですけど。 ――ステージ上で共演する機会もけっこうありましたよね。 谷中 そうですね。民生さん流に言うと「多くも少なくもない」(笑)。でもそれなりにあったと思います。民生さんはステージ上でカンペを見るのがうまいんです。「カンペなしで歌詞を覚えてくださいよ」って言うと、「難しくて覚えられない」って言下に否定される、そんなやりとりを何回かしてきました(笑)。 民生さんは歌いながら後ろに下がって、下がりながら下に張ってあるカンペを見るんです。でもまわりからは見ていることが全然わからない。そうするとまた、「俺は技術が違うんだ」みたいなことを言うんですけど(笑)。