「カグラバチ」が“サイバー・松竹連合”でアニメ化へ 業界注目の人気漫画を2社が射止めた理由
実際、カグラバチのアニメ化の幹事会社を選ぶコンペでは、ジャンプ作品のアニメ化で実績を誇る大手のアニメ企画・製作会社やテレビ局などが札を入れたという。ところが勝利を手にしたのは、ともにアニメプロデュースの世界で存在感を示せているとはいいがたい、サイバーエージェントと松竹だった。 サイバーエージェントは「【推しの子】」の製作委員会に名を連ね、他社からプロデューサーや海外ライツ担当者といったアニメ人材をかき集めるなど、アニメ事業を中長期の柱とすべく育成に励んでいる。2025年にはいずれもサイゲームスピクチャーズ制作で、人気アーティストのaikoを主題歌に起用したオリジナルアニメ「アポカリプスホテル」、話題の青春ホラー漫画をアニメ化した「光が死んだ夏」の放映・配信を控えている。
一方の松竹も、アニメで稼ぐ道を模索しているさなかだ。今年1月にはTBSホールディングスとアニメの共同製作などで資本業務提携を発表。直近では、10月に公開された人気小説原作の劇場アニメ「がんばっていきまっしょい」を幹事として製作している。 ■大手を差し置いて2社が選ばれた理由 もっとも、「【推しの子】」の幹事はKADOKAWAが担い、サイバーエージェントの委員会に対する出資は少額にとどまる。松竹も、「ドラゴンボール」に「ワンピース」と集英社の大型タイトルを扱う東映アニメーションと、「呪術廻戦」や「僕のヒーローアカデミア」といった近年の人気ジャンプ系作品を軒並みアニメ化してきた東宝に対し、アニメ領域で大きく出遅れている。
そんな2社のペアが選ばれたのはなぜか。前出のアニメプロデューサーは「コンペではPVをつくらされるので、基本はそのクリエーティブを集英社の編集部とライツ担当者、原作者がよいと思ったということだろう」とみる。そのうえで次のように推察する。 「プラスアルファの意図があるとすれば、スタジオの分散化だ。1つのスタジオに複数の作品を任せてしまうと、その制作ラインが(負荷などの面から)崩壊したときのリスクが大きい。『呪術廻戦』のMAPPAや『SPY×FAMILY』のWIT STUDIO、『逃げ上手の若君』のCloverWorksなど、すでに主要な作品を手がけているスタジオにつくらせるよりは、別のよさげなスタジオを試してみよう、という思考が働いたのではないか」