マクラーレン育成ボルトレートが初優勝。マシントラブル相次ぐ一戦に/FIA F2第7戦レース2
6月30日、2024年FIA F2第7戦シュピールベルクのフィーチャーレース(決勝レース2)が行われ、ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)がFIA F2初優勝を飾った。 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は好走を見せるも、マシントラブルで長時間ピットへ。その後コース復帰を果たし走行を続けたが、完走扱いには周回数が足らず、リタイア(DNF)となった。 フィーチャーレースのグリッドは28日に行われた公式予選で決定され、FIA F2参戦3年目のデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)が今季2度目となるポールポジションを獲得。 フロントロウ2番手にジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)、2列目3番手にボルトレート、4番手にフランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)が続いた。 今大会のタイヤコンパウンドはプライムタイヤがソフト(レッド)、オプションタイヤがスーパーソフト(パープル)となるなか、上位勢の多くはオプションタイヤをスタートタイヤに選択。上位5台のなかでは4番グリッドのコラピントだけがプライムタイヤをチョイスした。 フォーメーションラップ開始直後、ポールシッターのハウガー、10番グリッドのクッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)、14番グリッドのジャック・クロフォード(ダムス・ルーカスオイル/アストンマーティン育成)という3台がストールするまさかの事態に。 ハウガーがピットスタートへと変わり、これでデュルクセンが事実上のポールシッターに。タイヤ交換義務を有する周回数40周で争われるフィーチャーレースは、快晴のもと、気温27度、路面温度35度というコンディションでスタートを迎えた。 2番手ボルトレートが抜群の蹴り出しを見せるが、デュルクセンがターン1のホールショットを守る。一方、21番グリッドの宮田はプライムタイヤでスタートし、ラファエル・ヴィラゴメス(ファン・アメルスフォールト・レーシング)をパスすると15番手でオープニングラップを終えた。 なお、スタートでは20番グリッドのゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)がストール。マローニは大きく出遅れてスタートを切ったが、その後もマシントラブルがあったか、4周目にコースサイドにマシンを止めてここでレースを終えることに。 DRS使用可能となると、2番手ボルトレートは積極的にデュルクセンに仕掛ける。ボルトレートは5周目のターン4で安易とデュルクセンをパスし、昨年のFIA F3チャンピオンがFIA F2初優勝に向けて一歩前進する。さらに、6周目のターン3ではコラピントがデュルクセンのインを刺して2番手に浮上する。 6周目に6番手につけていたジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)、7周目に3番手のデュルクセン、9周目に暫定首位のボルトレートがピットに滑り込む。 しかし、ボルトレートはマルティニにアンダーカットされるかたちとなり、最も早いタイミングでタイヤを変えたマルティがタイヤ交換組のトップに浮上。さらに、7番手スタートのアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)がデュルクセンをピットで逆転しタイヤ交換組の3番手に浮上する。 一方、プライムスタートのコラピントは前方がクリアになるなか、好ペースを刻む。そんななか、同じくプライムスタートの宮田は14周目のターン3でロマン・スタネ(トライデント)をオーバーテイクし、ステイ組の5番手に浮上する。 しかし、18周目のホームストレートで宮田のマシンにトラブルが起きたのかスローダウン。そこからスピードを取り戻すことは叶ったが、これで宮田は20番手まで順位を落とすことに。 さらに、20周目には前日のウイナーのオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)にまでマシントラブルが発生し、ここでレースを終えることに。その2周後にはリチャード・フェルシュフォー(トライデント)もピットでマシンを降りている。 レースも折り返しを迎えた20周目、ボルトレートがマルティをパスし、タイヤ交換組のトップに浮上する。 26周目にはタイヤ交換組2番手のマルティと3番手ハジャルのチームメイトバトルが白熱。レッドブルの地元で成果を残したいマルティだったが、無線でチームオーダーが飛び、27周目のターン3でハジャルにポジションを譲る。「神様ありがとう!」と無線を飛ばしたハジャルは2.7秒先行するボルトレートの背中を追う。 33周目、ステイ組トップのコラピントがピットインし8番手でコースに復帰する。これで全車がタイヤ交換義務を消化し、ラップリーダーはボルトレートに変わった。 マルティからポジションを譲られた2番手ハジャルだったが、36周目を迎えるころにはタイヤが限界を迎えたか、ボルトレートに引き離されてしまう。逆に3番手のマルティが背後に接近するが、マルティは審議対象となっていた。 6周目にピットに入ったマルティだが、マルティがピットに入った際に、マローニのマシン回収作業に伴うバーチャル・セーフティカー(VSC)が入っていた可能性があった。 マルティは「VSCランプは消えていた」と無線を飛ばすが、ペナルティで後退する可能性があるためか、カンポスはマルティをハジャルの前に出すというチームオーダーを出さず。 そうしている間に、4番手コラピントが39周目のターン4でマルティをパス。続けてファイナルラップとなった40周目のターン3でハジャルを攻略し、コラピントが2番手に浮上する。しかし、コラピントの猛追はここまで。 40周目を終えて、前年のFIA F3チャンピオンのボルトレートがFIA F2初優勝を飾った。2位にコラピント、3位にハジャルが続いた。 4位マルティ、5位エンツォ・フィッティパルディ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)、6位ポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)、7位デュルクセン、8位アムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)、9位テイラー・バーナード(AIXレーシング)、10位ザク・オサリバン(ARTグランプリ/ウイリアムズ育成)までがポイント獲得。 追記:暫定4位につけていたマルティに対し、レース終了後に30秒のタイムペナルティが下された。 宮田は27周目にピットに入るとそこで6分近く停車。そこからコース復帰を果たし走行を続けたが、完走扱いには周回数が足らず、リタイア(DNF)となった。 随所で好バトルも多数見られたフィーチャーレースだが、マシントラブルによるものと考えられる後退、リタイアが相次ぐレースにもなった。 2024年FIA F2、次戦となる第8戦は次週7月5~7日にイギリスのシルバーストン・サーキットで開催される。 ■2024年FIA F2第7戦シュピールベルク フィーチャーレース正式結果 Pos./No./Driver/Team/Time/Gap 1/10/G.ボルトレート/インビクタ・レーシング/53’59.322 2/12/F.コラピント/MPモータースポーツ/4.296 3/20/I.ハジャル/カンポス・レーシング/5.553 4/14/E.フィッティパルディ/ファン・アメルスフォールト・レーシング/11.399 5/17/P.アーロン/ハイテック・パルスエイト/11.437 6/24/J.デュルクセン/AIXレーシング/12.562 7/16/A.コルデール/ハイテック・パルスエイト/22.557 8/25/T.バーナード/AIXレーシング/27.634 9/2/Z.オサリバン/ARTグランプリ/32.180 10/7/J.クロフォード/ダムス・ルーカスオイル/32.266 11/1/V.マルタンス/ARTグランプリ/32.613 12/11/D.ハウガー/MPモータースポーツ/33.470 13/4/A.アントネッリ/プレマ・レーシング/34.724 14/8/J.コレア/ダムス・ルーカスオイル/35.143 15/21/J.マルティ/カンポス・レーシング/36.035 16/15/R.ヴィラゴメス/ファン・アメルスフォールト・レーシング/49.792 17/9/K.マイニ/インビクタ・レーシング/51.433 18/23/R.スタネ/トライデント/55.494 -/6/宮田莉朋/ロダン・モータースポーツ/DNF -/22/R.フェルシュフォー/トライデント/DNF -/3/O.ベアマン/プレマ・レーシング/DNF -/5/Z.マローニ/ロダン・モータースポーツ/DNF ・ファステストラップ:#12 フランコ・コラピント(MPモータースポーツ)1分17秒868(35/40)199.630km/h ・ペナルティ: #21 ジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング):30秒タイムペナルティ/ピット義務未消化 #17 ポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト):5秒タイムペナルティ/1回以上のライン変更 #8 ファン・マヌエル・コレア(ダムス・ルーカスオイル):5秒タイムペナルティ/ピットエントリーでの白線カット [オートスポーツweb 2024年06月30日]