WBA世界ミドル級王者・村田諒太の消えた不安要素とは?
1998年7月のフリオ・ガンボアとのWBA世界スーパーフライ級タイトルのV2戦のレフェリーがラモス氏だった飯田覚士氏は、こう予想している。 「バトラーはいい選手だと思います。おそらく足を使ってくるでしょう。好戦的だと言われていますが、格下には好戦的にどんどん行くが、上手い選手やレベルが上の相手には足を使っていくタイプです。村田選手のようなハードパンチャーを相手にすると、後者のボクシングスタイルで来るでしょう。詰めていって下がらせる。そしてロープを背負わせてボディ。その攻撃を繰り返せば、いい形になります。ブラントとバトラーにそう差はありませんが、バトラーの方が、経験値が低く、一瞬の勝負勘に欠けていると思います。追い切れずに空回りするのが最悪パターンですが、そういう過ちは繰り返さないでしょう」 村田は、カルロス・リナレストレーナーとのミット打ちでは、動く相手を想定し、サイドステップを踏みながら、逃がさずに詰めるトレーニングを繰り返していた。前の試合でバトラーは、左ボディを効かされダウンしたシーンもあり、村田も「打たれ弱い」と分析していたが、バトラーが防戦一方となりレフェリーがストップをかけるエンディングが目に浮かぶ。 村田は、この日、会見で「非常にいい練習を積んできた。その内容をリング上で出せるかどうか」と口にしたが、対策は万全だという証拠だろう。 飯田氏は、さらに「相打ちに光明あり」と見ている 「バトラーは相手の動きが止まったときには、一転、前に出てパンチをまとめてきますが、軽い、当てているだけのパンチで攻撃力は弱いんです。この時間帯が危険になる可能性は低いでしょう。むしろ怖さがあるのは足を止めた打ち合い。そこではフルスイングをしてきます。カウンターもうまい。いわゆる相打ち狙いです。だが、ここにバトラーの弱点が出ます。ガードが甘く、パンチをもらってぐらつくシーンも見受けられます。右を打てば左のガードが下がり、左を打てば右のガードが下がります。村田選手は、相打ち覚悟で、どんどん打っていきたい。怖さはありますが、そこにKOチャンスがあります。私は、この試合は、村田選手の防衛の確率は相当高く、中盤にKO決着もあると踏んでいます」 殴り合い上等の勇気は、村田の得意分野。だが、会見での村田はいつもより言葉少なだった。 「結果は神のみぞ知る。自信を持ってリングに上がれる。試合を楽しみに」 この試合は、フジ系の地上波だけでなくNHKが「BS8K」で井上尚弥対ノニト・ドネアのWBSS決勝に続き、午後7時50分より生中継。また全米にもESPN+で放映される。ボクシングの枠を超えて注目度の高い初防衛戦だが、「ブラント1」の敗戦の二の舞を避けよう!というのが村田陣営の共通認識で、この先の夢物語を語ることも”封印”している。 アラム氏が願う「KOでの完全決着」。期待していいのかもしれない。