40代以上6人に1人「男性更年期」 検査キット企業「スキンケア同様にホルモンケアを」
令和4年に厚生労働省が行った「更年期症状・障害に関する意識調査」(全国の20~64歳の男女計5000人)では、「男性にも更年期にまつわる不調があることを知っているか」との問いに対し、女性の40代以降は30~50%程度が「よく知っている」と答えたのに対し、男性は最も高い60~64歳でも16・5%にとどまった。20~29歳では1割を切った。
自身の症状が男性更年期によるものという自覚がなかったり、他の病気と誤認したりして気付かない「隠れ更年期」の人も相当数、存在するとみられる。
社会的な影響では、症状が原因で離職したり配属が変わったりするケースも少なくない。会社などの組織では幹部級を担う40代以降が、男女とも更年期障害の主な発症年代。国内市場では男女合わせて年間6000億円規模の経済損失が生じているという調査結果もある。
■拡大傾向の「メイルテック」
更年期などの心身の不調をサポートする取り組みは、女性は「フェムテック」、男性は「メイルテック」と呼ばれる。近年は新型コロナウイルス禍によるストレス増なども背景に注目度が増し、関連市場も拡大傾向にある。
トゥルーリー社の二宮未摩子(みまこ)CEO(最高経営責任者)は、「症状があったとき、更年期を頭に思い浮かべられる程度にまで、認知度を高める必要がある」と指摘する。
また、同社による実証実験では、参加社員から、テストステロン値を上げるために有効である「筋トレを始めようと思う」とか「食生活を改善することにした」など、意識の変容がみられたという。
二宮氏は、検査キットの利用は「体の状態を数字で把握でき、改善に向けたモチベーションになりやすい」とした上で、「スキンケアなど美容と同じレベルで、ホルモンケアが社会に広がってほしい。それが結果として、組織における生産性向上や個人のウェルビーイング(幸福感)の実現につながっていく」と話している。