ニュースでよく見る第3のスマホ用OS「Tizen」って何?
AndroidやiOSとは違う新しいOSを積んだスマホの開発が進んでいます。これら2つのOSに続くOSという意味で「第3のOS」と位置づけられています。「第3のOS」の一つ「Tizen(タイゼン)」というOSに関するニュースを目にすることが増えてきました。「Tizen」とはどういう製品で、どんな事情があって開発が進んでいるのでしょうか? スマートフォンといえば、AndroidやiOSを使っている人がほとんどです。地図やカメラなどアプリが充実していますね。でも、アプリを作る人にとっては、Android向けとiOS向けの両方のアプリを作るのが大変。しかも、作ったアプリを売ろうとしても、App Storeなど決まった場所でしか売れません。 「これは困った。もっと楽にアプリが作れて、自由に売れるOSがあったらいいのに」と考えた人たちがいます。韓国のサムスン電子やインテルなどです。そうして開発が進んでいるスマホ用OSが「Tizen(タイゼン)」です。日本では、NTTドコモが2013年中にTizenスマホを発売すると言われています。 Android向けとiOS向けのアプリを作るには、それぞれ別にプログラムを組まなければなりません。プログラマーにとっては、手間が2倍かかります。しかし、一つのプログラムで両方のスマホで動けば、大変効率的です。アプリを作るプログラマーが楽になると言われています。 さらに、あなたがiOSのアプリを作り、App Storeで100円で売ったとします。70円は作った人の儲け、30円はアップルの儲けになります。これはアップルにとって、大きなビジネスです。30円は持って行かれますが、自分が売らなくても、アップルが世界中で売ってくれるのですから、手間賃と割りきって考えられます。 つまり、App Storeは、たくさんの人が集まってくる百貨店なのです。たくさんの人が集まってくるので、「ここに出店する人は売上に応じて出店料をお支払いください」というわけです。グーグルも同じようなビジネスです。 ただ、実際の百貨店と違うのは、iOS用のアプリを売ろうとしても、売れる場所はApp Storeしかないことです。販売できる場所を独占しているのですね。アップルやグーグルは、これで大儲けできて嬉しいのですが、それが面白くない人たちもいます。 「自分たちにも売り場を作るチャンスがほしい」という携帯電話会社などです。自分たちも出店料を徴収できる、そういう仕組です。Tizenを使えば、売り場の仕組みが自由に作れるようになります。通信会社は、アプリの料金をスマホの料金と一緒に払ってもらえばよくなるのです。 アプリを売って手数料が欲しい側のメリットがTizenにはあります。しかし、アプリを作るのが楽になるとはいえ、売れていないスマホのために、アプリを作ってくれるプログラマーはいるのでしょうか? それはアプリのラインナップに影響してきます。アプリの数だけでなく、世の中で流行っているアプリがないと、そのスマホを買ってくれません。NTTドコモはLineアプリを提供すると言っていますが、ユーザーが使いたいアプリはLineだけではありません。 「AndroidやiOSに追いつき、追い越せ」。Tizenを普及させるには、Tizenを作る側の事情だけではなく、アプリを作る側、そのアプリを使う側の事情を考えて作られていることが何よりも大事なのです。