「光る君へ」直秀・周明・双寿丸、オリジナルキャラクターを登場させた理由
「まず直秀の役割として1番大きいのは、いわゆる下々の者という立場です。非常に自由な精神を持つ散楽の一員として大石さんに描いていただきましたが、若かりしまひろの深層意識に作家として必要な自由な物の考え方を刷り込むということと、彼の死によって人生における不条理さ、まひろに傷を与える役割があると思います。そういう意味では、周明もある意味似ていると言えますが、直秀の死から少し時が経った頃にまひろが周明と出会い、(彼の立場や境遇を知ることで)まひろにさらなる新しい考え方を運んできてもらいたいという意図がありました。その後、まひろは宣孝と結婚して子を産みますが、そこへのステップを促す役割もあったと思います」
なお、直秀と周明のキャスティングの理由についてはこう話す。
「毎熊さんは、いわゆる主役というよりはクセのあるキャラクターを多くやっていらしたイメージで、非常にそういったお芝居が巧みであることと、ちょっとした表情がかっこいいんですよね。実際、そういった魅力に視聴者の方も気づいていらっしゃいましたけれども、ちょっと笑顔が可愛いとか(笑)。直秀は、未熟なまひろと道長に比べて、少し人生の先を行っている若者として演じていただきたいと思っていました。松下さんに関しては、連続テレビ小説『スカーレット』(2019)でご一緒したことがかなり大きかったと思います。『スカーレット』が終わった時に“また次に良いお仕事でご一緒しましょうね”と言って別れたので、この作品で声をかけさせていただきました。吉高さんとは民放のドラマでもすごく相性のいいお芝居をされていたこともあって、彼が出ることによって少し作品の雰囲気も変わるだろうし、トキメキみたいなものを視聴者の方に感じていただけるのではないかという期待もありました。松下さんはそれまで割と“好青年”のイメージが強かったので、みなさんにとって今回の“密命を帯びた役柄”は意外だったんじゃないかなと思います。画面越しに拝見すると、何かちょっと気を許せない顔をされているなという印象を受けました」