日本と中国が米国債を大量売却、トランプ氏勝利前の7-9月
(ブルームバーグ): 海外投資家として世界最大規模の米国債を保有する2カ国が、米大統領選挙前の第3四半期(7-9月)に米国債を大量売却した。
米財務省が18日に発表したデータによると、日本の投資家は9月30日までの3カ月間に過去最高額の619億ドルの米国債を売り越した。中国も同期間にネットで過去2番目の大きさとなる513億ドル売却した。
米国債のリターンは、共和党が議会とホワイトハウスの両方を掌握する前の9月中旬に2年半ぶりの最高水準を付けた。その後、トランプ次期大統領の減税および高関税政策がインフレをあおるとの懸念から、米国債は約4%下落している。
みずほ証券のチーフデスクストラテジスト、大森翔央輝氏は、日本の米国債売りは銀行や年金基金によるもので、「トランプ氏勝利のリスクと利回りの上昇観測が米国債に対するセンチメントを傷つけた」と指摘。「地政学リスクが現実的な懸念となっていた中国では、さらにその傾向が強かった」と話す。
日本の米国債売却は、7月11日と12日に財務省が実施した総額5兆5300億円(359億ドル)のドル売り・円買い介入により膨らんだ可能性がある。
中国の売却額も、カストディアン口座の利用による偏りがあるかもしれない。中国の保管口座があるとみられるベルギーは、9月に過去最高となる202億ドルの米国債を購入した。
第3四半期の歴史的な売却後も、日本と中国はそれぞれ1兆200億ドルと7310億ドル相当の米国債を保有しており、米国債市場における影響力を保持する。
堅調な経済を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退していることに加えて、トランプ次期大統領による米財務長官の人選を巡る不透明感も、米国債利回りの上昇圧力につながっている。
ATグローバル・マーケッツのチーフ・アナリスト、ニック・トワイデール氏は「市場が織り込み始めていた、トランプ氏がインフレ的な政策を取る可能性が確認されつつある」とし、「中国や日本による米国債売却は今後も続くだろう」と予想した。
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Masaki Kondo, Ruth Carson