日本への注力を打ち出すNothing、厳しい日本のスマホ市場がチャンスになるワケ
製品面でも、日本市場に向けて積極的な対応を進めようとしている様子が見て取れます。最も象徴的な事例が、2024年3月に発表したスマートフォン新機種「Nothing Phone (2a)にFeliCaを搭載する、と発表したことです。 海外であまり使われていないけれど日本でのニーズが大きいFeliCaを搭載することは、海外スマートフォンメーカーの日本市場に対する力の入れ具合を示すバロメーターとして注目されることが多いもの。それだけに、新機種で初めてFeliCaの搭載に踏み切ったことは、同社が日本で本格的にスマートフォンを販売するという姿勢を明確に示したといえます。
それに加えて、今回の発表イベントでは、同社製品に採用されているドットを用いたオリジナルフォント「Ndot」を、コミュニティーの力を借りて日本語に対応させる取り組みを進めていることが明らかにされました。Ndotは、これまで日本語に対応していなかったため、日本語でNothing Phoneを利用する際はフォントが変わってしまい、独自の世界観が失われてしまう印象を受けていただけに、フォントの日本語化対応は、日本での本格展開を進めるうえで大きな意味を持つでしょう。
■特徴的なスマホに飢えている日本の消費者 ですが、なぜNothing Technologyは、円安で市場環境が非常に厳しいタイミングで、日本市場へ本格進出するという決断を下したのでしょうか。その理由として、同社のCEOであるカール・ペイ氏は、日本での販売実績と関心の高さを挙げています。 実際、Nothing earシリーズは、すでに日本が米国に次ぐ2番目の市場になっているそうで、Nothing PhoneシリーズもこれまでFeliCa非搭載モデルのみの販売ながら、顧客からは非常にポジティブな評価を得ていたとのこと。加えて、日本からの同社Webサイトに対するアクセス数も150万を超え、世界で5番目に多い数に達しているとのことです。