この世のすべての快楽を教え込む!不遇な令嬢を世界一の幸せにするために教える“イケナイこと”【書評】
「俺はお前にこの世のすべての快楽を教え込む」そう言われたらどんなストーリーを想像するだろうか。『婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース!~』(桂イチホ:漫画、ふか田さめたろう:原作、みわべさくら:キャラクター原案/主婦と生活社)は、不遇な人生を送って婚約破棄された令嬢に、日常生活のちょっとイケナイことを教えこみ、最終的には「世界で一番幸せだ」と胸を張って言えるようにするストーリーだ。 【漫画】本編を読む
人付き合いを避け、森の奥で静かに暮らしていた魔法使いのアレンは、ある夜、森で倒れている一人の少女を拾う。ボロボロの姿で倒れていたその子は、隣国の第二王子の元婚約者・シャーロットだった。あらぬ疑いをかけられ、婚約破棄された彼女は、命からがら逃亡していた。 アレンは、彼女をメイドとして雇い入れ、共同生活が始まった。シャーロットは不遇な生い立ちから、自己肯定感が低く、贅沢を全く知らない。一番楽しい時である10代を搾取されるだけで終わらせまいと、アレンは彼女に「イケナイこと」を教えるのだった。 アレンの言う「イケナイこと」は、道理に反する「悦び」である。夕食をケーキとお菓子にするなどイケナイとわかりながらこっそり楽しむ「悦び」。なんともかわいい話ではないか。アレンの義理妹と普段とは違う大胆な装いを試してみるシャーロットの姿も、実に愛らしい。 シャーロットを悦ばせながら、だんだん彼女に惹かれていくアレン。なんでもできる完璧な魔法使いであるアレンだが、シャーロットに告白することがなかなかできない。モダモダする様子が、コミカルかつ微笑ましく描かれている。 好きがダダ漏れているアレンに徐々に心を開き、お互いに惹かれていく様子を微笑ましく感じる人も多いのではないだろうか。さまざまな問題を解決しつつ、かわいい二人が恋人としても成長していく姿に注目したい。 文=ネゴト / 森ソタカ