まちから書店が消える『背景は?』ネット通販や電子書籍の普及前から全国で減少
■長崎書店 長崎健一社長 *崎は「たつさき」 「実際に店に買いに行かなくても、自宅や職場で商品が受け取れるのはなかなか真似のできるサービスではないと思います。海外の事例を見ても、韓国やフランスではリアル書店や本の流通を守るための様々な施策を国と書店が連携してやっています。今回発足した書店振興プロジェクトチームを中心として、それに対抗できるような施策をぜひ練っていただきたい」
一方で長崎社長は、国だけではなく熊本県など自治体とも一緒に取り組めることがあるのではないかと考えています。例えばくまモンです。手続きをすればくまモンを使えるものの、デザイン化するにはお金がかかります。そのため、これまで業界で作る図書カードやブックカバーにくまモンが使われたことはありません。そんな余裕もないのが業界の現状といいます。 ■長崎書店 長崎健一社長 *崎は「たつさき」 「全国随一のブランド力を誇るくまモン、そういったキャラクターを活用、コラボできたら何よりだと思っています。エリア限定の取り組みだけれど 全国的にもいい波及効果が生まれるのではないか」
【スタジオ】 (武田さん) 私が大切にしている本を何冊か持ってきました。「ツタンカーメンの秘密」、「妖怪大辞典」、そして妻の本で「大きな森の小さな家」です。どれも本屋さんの棚から「面白そう!」と見つけた本です。 セレンディピティという言葉があります。「思いがけない発見」という意味です。私は本屋さんをぶらぶら歩いていて、ふと目に留まった表紙やタイトル、装丁にひかれて思わず手に取って、パラパラめくっているうちに面白そうだとなり、買って帰って、生涯の友になる、という経験を何度もしました。 ネットの本屋さんは、自分で検索したり、アルゴリズムで自分の好みに合いそうな本をリコメンドしたりしてくれますが、自分の全く関心の外の本はそもそも目にはいらない仕組みになっています。そこが町の本屋さんとネットの本屋の違いだと思います。 かくいう私も、読む必要がある本は電子書籍で買うことがほとんどになりましたが、それでも時々、本屋さんの棚に平積みになっている本を見るのはとても刺激になります。 本屋大賞に選ばれた本が毎年ベストセラーになりますが、本屋の棚は「なんか面白い本ない?」というお客と、「これなんかどう?」という本屋さんの無言の対話の場なんだと思います。そんな楽しい本をめぐるおしゃべりの場を何とかして残してほしいと思います。 (東島記者) 人口も少ない地方の書店はまさに正念場で、あとがない状況です。政府のプロジェクトチームは7月にも何らかの対策を示す方針です。