まちから書店が消える『背景は?』ネット通販や電子書籍の普及前から全国で減少
【スタジオ】 (武田真一さん) とても素敵な本屋さんですね。私も一度行ってみたかったのですが、本当に残念です。実は私の義理の兄が、上通で古書店を経営していたのですが、去年の年末に店を畳みました。熊本の郷土史に関する本や文献を扱っていたのですが、様々な事情があり、続けることができなくなりました。熊本の歴史や文化を市井の人が学ぶ素晴らしい店だったと思うのですが、とても残念です。 そうした個性的な書店が次々と姿を消す現状に、日本の文化が衰退していくんじゃないかという漠然とした不安を抱きます。
(東島記者) 実は2003年以降、全国の書店は転がり落ちるように減少の一途を辿っています。しかし、ネット通販の本格的な普及はその後です。電子書籍も同じです。2010年代後半くらいから伸びています。実は電子書籍やネット通販の普及以前から書店の減少は始まっているのです。 (緒方太郎キャスター) すると原因は?
(東島記者) ひと言で言えば、少子化と書店の利益率の低さです。書店の粗利率は20%程度です。商売をしている人はわかると思ういますが、通常の小売業の利益率は28%、飲食業の半分以下です。 (緒方キャスター) それでどうやって経営が成り立っているのでしょうか?
(東島記者) 書店を支えていたのは、教科書や学習参考書、学年誌、コミックなどの子ども向け書籍、そしてもうひとつが週刊誌などの雑誌類です。この2本柱が利益の出ない一般書籍をカバーし、書店の経営を支えていました。 (武田さん) それは子どもが多くて人口が増えていた時代のビジネスモデルで、少子化・人口減少の今は、それでは成り立たないですよね。 (東島記者) 厳しい問題に直面している「まちの書店」ですが、独自の工夫も重ねています。
【VTR】 ■東島記者 「店先のカッパの像でおなじみの金龍堂まるぶん書店。こちらは近年、書籍以外の販売に力を入れています」 熊本市の中心部、上通アーケードにある金龍堂まるぶん書店は、去年の10月から雑貨の販売に力を入れ始めました。入り口のすぐ横に、話題の本とリンクするような雑貨が並びます。