山形県「新採教員の空き時間確保」で休職者ゼロに 2年目教員の不安解消や切れ目ない支援が課題
部活動の地域移行、ICT活用、外部人材活用も推進
県教委では2019年度に「公立学校における働き方改革プラン(1期)」を策定し、教員の働き方改革を推進してきた。現在は第2期(2023~2025年度)が進行中で、当初の目標値に届かなかった第1期の反省を受けて、「半期における時間外在校等時間の月平均が80時間を超える教員数0人」「年間における時間外在校等時間の月平均が45時間を超える教員数0人」を目指し、新採教員の支援に留まらず、多角的な取り組みを進めている。 例えば、「中・高の教員の時間外勤務が増える主な要因は部活動」という調査結果から、休日の部活動に関しては2023年度より地域移行を推進。2024年度は県内全35市町村のうち23の市町村で、地域移行の各調整を担うコーディネーターを配置し、休日は地域のクラブが部活動を担う体制づくりを進めている。 「現在は、中学校の約3割で休日は学校が部活動を行わない体制を組めている。これをほぼすべての中学校に普及させていけるように、今後も地域移行を進めていきたい」と県教委担当者は話す。 ICTの有効活用も進めており、県立高校の一部の学校で先行導入していたデジタル採点サービスを2023年度には35校まで拡大。2024年度はさらに4校への導入を予定しており、「ほぼすべての県立高校に導入できる見通し」(県教委担当者)だ。点数の集計やデータ化ができるようになったことでミスが減り、採点作業を勤務時間内に終えられる教員が増え、「こんなに効果があるのかと驚いている」と県教委は言う。 また、2018年度より導入を始めた教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)を、2024年度は小・中・特別支援学校の全校に配置を進めている。教員業務支援員は教員免許を所有していない人材でも任用可能で、印刷作業や給食指導などのサポートを担っている。 これらの取り組みはいずれも段階的に進められており、2022年度上期と2023年度上期の月平均時間外在校等時間を比較すると、小学校は37時間から36時間10分、中学校は47時間56分から44時間39分、高校は44時間26分から42時間33分、特別支援学校は24時間30分から23時間42分へと、いずれも減少している。 時間外在校等時間が80時間を超えた教員数は、2023年度上期の時点では小学校が4人、中学校が65人、高校が142人。目標の0人までは道半ばだが、中学校では最多だった2021年度上期と比べ約56%減となった。「部活指導や生活指導で忙しい中学校教員の時間外在校等時間を減らすことは容易ではないが、働き方改革の成果が数字に表れ始めたと捉えている」と県教委担当者は話す。