「東洋のハリウッド」と呼ばれた東京・調布で「特撮映画」展示。怪獣ラドンが暴れた福岡のビル模型など
かつて「東洋のハリウッド」と呼ばれた東京・調布は、特撮映画とゆかりが深い。そんな歴史から、2月18日まで開催中の「映画のまち調布シネマフェスティバル2024」で、「調布と特撮映画」に焦点があてられている。 会場の調布市文化会館たづくりエントランスホールでの「CINE WORKS」展では、映画「空の大怪獣ラドン」(1956年)の舞台となった福岡市中心部の岩田屋ビル復元模型が展示されている。 11日には「空の大怪獣ラドン」の4Kデジタルリマスター版が上映され、上映後は、特撮美術監督の三池敏夫さんと元東京現像所営業部長兼アーカイブマネージャーの清水俊文さんによるトークが行われ、東京現像所で行われたデジタル修復作業などについて語り合った。
「ラドン」は、「ゴジラ」の名コンビである本多猪四郎監督と円谷英二特技監督が手がけた日本初のカラー怪獣映画であり、それゆえ、デジタル修復には大きな意義があった。 同作では、正体不明の飛行物体による航空事故が勃発。それは阿蘇の地下洞窟に眠っていた太古の翼竜が大気中の放射性元素の増加により怪獣として甦ったラドンによるものだった。音速で飛ぶラドンの衝撃波は地上のものを破壊し尽くしていく。果たして人類はラドンを撃滅することができるのか、というのが同作のストーリーだ。 10日には、第6回映画のまち調布賞の授賞式が行われた。この賞は、映画製作の現場を支える技術者や制作会社といった「映画のつくり手」に贈る賞。調布市内に在住・在勤・在学する人や同市内の映画館来場者らの人気投票で上位になった作品から選考委員会が受賞者を決めるというユニークな形をとる。
授賞式で、フェスティバルの佐伯知紀実行委員長は、「何よりも1万5237票の投票があったこと」の意義を強調し、「継続は力」とこれまでの歩みを振り返った。 撮影賞は自然に、かつ巧みな表現で作品世界を支えた「月の満ち欠け」の水口智之さん、照明賞は、「銀河鉄道の夜」の佐藤浩太さんが受賞した。佐藤さんは、宮沢賢治が成長していく明治大正期のランタン、裸電球などのあかりや、日暮れから宵闇に向かう気配を最大限に引き出した点が評価された。録音賞は収録難度が高い現場でのバランス調整が絶妙だった「劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室」の湯脇房雄さん、編集賞は観客の視点に立った展開となった同作の菅野詩織さんに授与された。また、美術賞は、コロナ禍でイタリアロケができなかったのに欧州の雰囲気を作り出した「耳をすませば」の相馬直樹さんが受賞した。 さらに作品賞が投票第1位となった「すずめの戸締まり」、特別賞がプロデューサーの新藤次郎さんと、調布市内でポストプロダクションの要として長年日本映画を支え続け、昨年11月に事業を終了した株式会社東京現像所に授与された。