政府が個人情報「同意なし」で利用範囲拡大か、利便性と規制はどう両立すべき?
「本人同意」なしのデータ利活用は本当に問題ない?
このように国の専門家会合では、防災システムの高度化などの文脈と絡め、本人同意なしにデータを利活用できる範囲を広げるべきとの論調が強まっている。実際に「本人同意」の解釈が柔軟になれば、たとえば役所で何回も同じような情報を記入させられることがなくなるなど、利用者の目線から見ても、一定のメリットはあるかもしれない。 とはいえ制度改正に突き進む前に、本人が知らないうちに当初想定しなかった分野で個人情報が流用されるのではないかとの懸念を払しょくする必要があるだろう。規制緩和にあたっては単に事業者側の要望を聞きいれるだけでなく、個人情報の本来の「主」である国民を置いてきぼりにすることのない、丁寧な議論が求められる。
執筆:三上剛輝、編集:金融ジャーナリスト 川辺 和将