楽天とみずほFGの提携に見る「2つの懸念」…14.99%楽天カード株式取得の深い意味
「14.99%」という微妙な出資比率
ただ、気になるのは「14.99%」という非常に微妙な出資比率だ。 14日の記者会見でも出資比率についての質問が上がっており、みずほFG取締役兼執行役社長グループCEOの木原正裕氏は割と明け透けに数字の根拠を明かしている。 「数字にあまり深い意味はないが、楽天カード自体は非常に重要なビジネスと考えており、資本提携のみならず楽天Gとは新しい技術が増えていくなかで双方にメリットがある提携をしたい。 ただし私は慎重なので、まずはお試しということで会社の持分法の適用外になる数字を選んだ」(みずほFG 木原社長) 持分法適用会社になると、資本を投資した会社の連結財務諸表に純資産や損益が反映されるようになり、つまり楽天カードの業績がそのままみずほFGの決算に影響を及ぼすことになる。 この適用範囲だが、一般には対象となる会社の議決権の20%以上を所有する場合に当てられるが、このほか提携や取引内容に応じて15%以上20%未満でも適用対象となる。 つまり、14.99%はこれにギリギリ引っかからない数字となる。楽天G会長兼社長の三木谷浩史氏も同質問に対して「両社の間で15%の範囲内に収まる水準で出資ということで話し合っていた」とコメントしており、持分法にかからないギリギリの最高水準の投資が行われたというわけだ。 問題はこの提携に対するみずほFGの本気度だ。 金融業界で各方面に取材をしていると「みずほさんは……極端に言えば、どこにでも手を出されるので」といったコメントが随所で聞こえてくる。 みずほFG的には「オープン戦略」をうたっているが、出資や提携に対する同社のスタンスは「お金は出すけれども、本気でガッツリとは組まない」といったものだ。 実際、みずほFGに比較的多額の資本注入を受けていたあるスタートアップの幹部は製品リリース後の取材のコメントで「みずほさんには一応義理は果たしたので……」と、両社の提携の先がなかったことを暗にほのめかしていたりもする。 そういったみずほFGなので、今回の楽天Gとの提携は「お試し」とはいえども、過去の「出資」と呼ばれた資本投入に比べればある程度提携の先を見据えており、両社が本格的に四つに組むかの分岐点に差し掛かっているといえるかもしれない。 みずほFGが本気でルビコン川を渡るのか、まずはその効果を当面は評価することになるだろう。
鈴木淳也