2つの国際裁判所が下した「イスラエル」への厳しい判断…その背景にある「反イスラエル思想」の正体
2つの国際裁判所から厳しい判断
イスラム過激派、ハマスの掃討作戦をめぐって、国際刑事裁判所(ICC)と国際司法裁判所(ICJ)が相次いで、イスラエルに厳しい判断を下した。イスラエルは強く反発し、米国はICC関係者に対する制裁も検討している。いったい、何が起きているのか。 【写真】大胆な水着姿に全米騒然…トランプ前大統領の「娘の美貌」がヤバすぎる! 国際刑事裁判所のカリム・カーン主任検察官は5月20日、ハマスの政治指導者、イスマイル・ハニヤ氏とガザ地区指導者のヤヒヤ・シンワル氏、軍事部門トップのムハンマド・デイフ氏とともに、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント国防相に戦争犯罪などの疑いで逮捕状を請求した。 ICCは昨年3月、ウクライナに侵攻したロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したが、ハマスにテロ攻撃されたイスラエルについても、空爆と地上戦による反撃を戦争犯罪とみなした形である。ICCの予審裁判部が今後、検察官が提出した証拠を精査し、逮捕状を出すかどうかを検討する。 これに対して、イスラエルは猛烈に反発した。米国のジョー・バイデン大統領も「言語道断だ。イスラエルとハマスは同列にできない」と批判した。アントニー・ブリンケン国務長官は米議会と連携して、ICCに対する制裁を検討する方針を示している。 一方、国際司法裁判所(ICJ)も5月24日、イスラエルに対して、ガザ最南部のラファへの軍事攻撃を即時停止するよう求めた。イスラエルは「ガザで大虐殺が行われているという非難は、とんでもない誤りで不当だ」と反発している。
日米メディアで異なる社説
2つの国際裁判所は、どんな組織なのか。 ICCは2003年に加盟国が合意した「ローマ規定」に基づいて、オランダのハーグに設立された。戦争に伴う集団殺害など、戦争犯罪に問われた個人を訴追する。日本など124の国・地域が加盟し、逮捕状が出されれば、加盟国には発見次第、身柄を拘束する義務が生じる。イスラエルと米国は加盟していない。 日本は加盟国のなかで、全体の15.4%を拠出する最大の分担金拠出国だ。現在の所長は日本人の赤根智子判事が務めている。国連とは協力関係にあるが、独立した組織で、国連の一部ではない。 一方、同じくハーグにあるICJは国連の司法機関で、国家間の紛争を扱う。国連加盟国の192カ国が訴えを起こせるが、実際に裁判が始まるかどうかは、相手国が同意するか、事前の同意が必要になる。 日本のメディアは、ICCやICJを支持している。たとえば、朝日新聞は26日付で「司法栽の命令 ラファ攻撃は許されぬ」という社説を掲げた。東京新聞も5月30日付の「イスラエル支援 米は『2重基準』やめよ」という社説で、ICJの攻撃停止命令やICCの逮捕状請求に絡めて、米国を批判した。 ウォール・ストリート・ジャーナルは27日付の社説で、ICJを厳しく批判している。次のようだ。 ---------- 〈ICJの判事たちは事実上、イスラエルに人質を見捨てるよう求めている。ICJはイスラエルにラファの国境検問所を開放するよう命じた。イスラエルは何週間も前から、エジプトに同検問所を開くよう求めてきた。バイデン米大統領がエジプト大統領に電話し、ようやくラファ検問所の再開に同意した。ICJは、なぜイスラエルを非難していたのか〉 ---------- ---------- 〈ハマスはイスラエルの民間人を殺害し、パレスチナ人であるガザの民間人を盾にして身を隠すことで、イスラエルが非難されるように仕向けている。ICJの裁判長はレバノンのナワフ・サラム氏だが、とんでもない偏見の持ち主だ。彼は何十年にもわたってイスラエルを批判し、今もレバノンの政治に関わっており、ICJの判事になって以降、2度にわたって首相候補になっている〉 ----------