適正価格の洗練バッグ、オランダ発ワンドラーの魅力
■たった2カ月でワンドラーを起業した自然体の女性
そんな確かな審美眼を持ったブルーベル・ジャパンが先鞭(せんべん)をつけたワンドラーは、2017年にエルザ・ワンドラーが立ち上げたブランド。 彼女はアムステルダム ファッション インスティテュートでファッションを学んだ後、大手のグローバル ファッション ブランドでファッションビジネスのイロハを習得。たった2カ月で自身のブランドを起こしたというセンスとバイタリティーあふれる女性です。 彼女はファウンダーでもあり、デザイナー、アートディレクターでもあるので、全体像と同時にブランドの細部までを統括しています。その能力は世界各地からの推薦や識者からの情報を元に、英国のファッションメディアがファッション業界で影響力のある人物をリストアップする「The Business of Fashion (ザ・ビジネス・オブ・ファッション)500」にも選出されるほど。 浮き沈みの激しいファッションの世界でビジネスとデザインを巧みに両立されていると聞けば、かなりのパワーウーマンかと思いきや、飾らない言葉に誠実な人柄がにじみ出ています。 「創造性とビジネスは一緒に進むもので、私自身もその両面を持っていますが半日はビジネスミーティングをして、残り半日でデザインワークをするのは本当に難しい。そのバランスの取り方に関しては、正直まだうまく見つけられていないんです」
■触れたくなるデザイン イタリアの上質レザーで
品質と価格に関しての考えも伺ってみました。「私たちは製品を公正な価格で提供することに努めています。ワンドラーで使っているのは最高級のイタリアの素材。レザー ワーキング グループ(略称LWG。英国に本部を置き、レザーに関して環境保全に厳しい基準を課す認証制度を運営)が認証した環境にやさしいレザーを使っています。品質の高さや倫理的な生産を考慮し、質の高いクラフトマンシップに投資する価値を伝えたいと考えているので。ファッションを使い捨てするのではなく、質の良いものにお金をかけ、長く愛用してほしいと思っています」 そういったブランドの背景はもちろんのこと、なによりの魅力は女性がつい触れてみたくなるようなデザインである点。彼女がブランド設立時につくったラウンドシェイプのバッグ「ホルテンシア」が、そのワンドラーらしさを端的に伝えています。カーブしたフォルムからはアートな香りが漂い、カラーパレットからは自然が感じられ、存在感があるのにどこか柔らかさが感じられます。それはまるで肩の力を抜いて、しなやかに生きる現代の女性そのもの。