落葉樹の剪定のポイントはずばりコレだけ!「すかし剪定」で自然な樹形に。モサモサになったモミジ類は12月中に剪定を
季節の変化が楽しめて人気の落葉樹ですが、気づけば枝葉がモサッとしたり伸びすぎたり...。魅力的な枝ぶりを保つためにプロの庭師さんはどうしているのか、高田宣人さんの作業現場を見てみましょう。『趣味の園芸』2024年12月号掲載、季節連載「庭師の剪定実況中継」冬編より、一部を抜粋してお届けします。
枝のつけ根で切る「すかし剪定」で自然な樹形にする
――現役の庭師、高田さんのお仕事に密着させていただく連載企画第3弾。12月はどんな剪定を行うのでしょうか。 今回は落葉樹を剪定します。落葉樹は春の新緑、秋の紅葉、冬の裸木も美しく、季節ごとの変化が楽しめて人気です。落葉している冬は休眠しているので、太い枝を切ってもダメージが少なくて剪定の適期になります。 ――葉が残っていても剪定してよいですか? ええ、木を揺らして葉がはらはらと落ちれば大丈夫です。特にモミジ類は休眠から覚めるのが早いため、葉があっても12月中に剪定してください。 ――落葉樹は冬に枝ぶりが目立ちます。剪定で気をつけるのはどんな点でしょう? 枝の途中でぶつ切りする(=切り戻し剪定)とエネルギーの流れが断ち切られ、枝が枯れたり不自然に暴れる強い徒長枝*が何本も出たりします。枝の分岐点までたどってつけ根で切る「すかし剪定」によって、枝伸びが穏やかな自然風の樹形にしましょう。 *徒長枝(とちょうし):樹形を乱して上に勢いよく伸びる枝。ほかの枝の成長を阻害しやすい。 ――大きくなった木をいきなり低くするのはダメですよね? 落葉樹はのびのび育てたいものです。一気に樹高を低くするのは木に負担がかかるし、見苦しいので避けましょう。木にとってベストな高さは一概にいえませんが、最も高い枝をつけ根で切り、てっぺんを2番目に高い枝に切り替えることを2~3年繰り返すと、木の負担が少なく樹高を低くできます。
モミジ類は剪定の時期を間違えると、切り口から樹液が流れ出て木が弱ります。冬の剪定はなるべく年内に終えましょう。 木の高さは場所や好みによって、庭師の考え方もそれぞれです。お客さんからは小さくするオーダーが多いので、まず高さを決めて伸びすぎた枝を切っていきます。細かいところを気にするより、全体の枝ぶりを離れて見て切るのが大事です。 12月号では、特に人気の落葉樹3種を例に剪定しています。ぜひ参考にしてください。 教えてくれた人/高田宣人(たかだ・のぶと) 庭師 50軒の個人邸から茶庭や公共施設まで、幅広く庭の管理・造園に携わる。庭師の団体「庭連」会員。全国の庭師と日本文化の庭を紡ぐ活動をしている。 ●『趣味の園芸』2024年12月号 季節連載「庭師の剪定実況中継 その3 冬編/落葉樹の剪定」より