課題解決の失敗から高校生が気づいたこと「相手のことを知らないと、何も解決できない」
課題解決に向けての話し合いが楽しみになってきた
講座の最後には、実際に各グループが各々選んだ問題に対して、どんな発散・集約を得ながら課題解決に至るまでの思考を及ぼしたのかについて発表してもらいました。発表に対するフィードバックには、講師の私たちだけではなく、他の生徒はもちろん、授業参観に入ってくれていた教育委員会の職員の方々や、他の学校の先生方にもお力をお借りしました。 【学生たちの声】 ・4人で話すと、ひとりでは思いつかないような素晴らしい意見がでてすごいと思いました。また、FCIの課題を挙げる過程で、原さんも言っていた「FCIは課題の宝庫」だということを実感しました。現地の人は何か分かっていないライブラリィのようにならないために、最後まで丁寧に課題解決へむけて行動することが大切なのかなと思いました。 ・実際に自分たちの問題はみんなに必要だとされるものだと思ったけれど、意見を聞いてみていらないという理由があったので、やっぱり人によって考えていることは全然違うんだなと感じた。 ・私たちのグループは、今A組の人の机の移動がめんどくさいというところに焦点をあてて、A組の机の移動をなくすにはどのようにしたらよいか、というのを考えました。私たちが考えたもので「ほかの学校から余っている机・椅子をもらう」という案が出て、それを中心に考えていました。しかし、実際にやるとなると公立の中学校・高校から私立の高校にもらうのはとても難しいなと思いました。課題解決のために、今何が問題になっているのか、その問題を解決するためにどういった行動をしなければならないか、というのを具体的に何パターンも考えていかなければならないなと思いました。 ・いろんな視点からの質問がきて、新しく考えることがあったり、改めて気づくことがあったりと、これからの課題解決に向けての話し合いが楽しみになってきた。 ・やっぱり、一人ひとりがあっていると感じている勉強方法は違うんだなと思いました。また、発表の後、教室の後ろのほうにいた先生方に意見、答えを求めているのがすごく印象的でした。いろんな人、特に世代が違う人の意見は新しい発見が多いと感じました。 出前講座では時間が許す限り、なるべく一方的な講義ではなく、子ども達・生徒達にも考えてもらったりグループで話し合ってもらったりする時間を設けたいと思っています。生徒の感想からも感じられるように、耳から入ってくるだけの情報よりも、その情報をちょっと試しに使ってみながら自分の思考に乗せてみるほうが、きっと何かしら得られるものがあると思うからです。 同じ話を聞いて同じテーマでディスカッションをしていても、同級生ですら異なる考えを持っていることに接すれば、自分の視野の幅が限られていることや思い込みに気づくチャンスにもなるかもしれません。聴き合う楽しさを発見してもらえるといいなと願いながら、いつもグループワークに聞き耳を立てています。 【学生たちの声】 相手のことを知らないと、何も解決できないから、まずは相手のことを知ることが大事だと思いました。 課題解決に飛びつくのではなく、その前提の問題を捉えるために、相手のことを聴く。日常の些細な問題から、コミュニティ、社会、地球規模の課題まで、どんな課題解決に取り組もうと思う時にも忘れないように自戒をこめながら、これからも生徒達と取り組んでいきたいと思っているテーマです。
原 ゆかり(NGO MY DREAM. org設立者、獨協大学非常勤講師)