セブン&アイ、24年度中に低収益事業や資産の整理完了へ 特損計上
Ritsuko Shimizu [東京 9日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングスは9日、2024年度中に戦略的な事業・資産の整理を完了すると発表した。24年3―11月期に、海外セブンイレブンの不採算店舗閉鎖やイトーヨーカ堂のネットスーパー事業の再構築などで1789億円の特別損失を計上。同期の当期純利益は、前年同期比65.1%減の636億円となった。 同社では「4月に公表したアクションプランに基づき、企業価値・株主価値の最大化に向け、24年度中に収益性の低い事業・資産の整理を完了させる」としている。資産の整理を前倒しで進めることで、来期以降の増益に寄与するとみている。 これまで、北米でのコンビニ店舗の閉鎖で567億円、ヨーカ堂のネットスーパー事業の再構築で458億円、ヨーク・ホールディングスのシステム統合等に伴う損失166億円などを計上した。 丸山好道・最高財務責任者(CFO)は会見で「24年度は営業面、経営面で今後のグループの飛躍に向けた転機になる年。さまざまな取り組みの着実な進捗を確認する中、夜明けは近いと確信している」と述べた。 同日、今年2月下旬の組織再編によりスーパーストア事業などを集約した中間持株会社ヨークHDが傘下に置くグループ各社の株式を取得することを決めた。 ヨークHDの一部売却については「プロセスを推進している最中」(丸山CFO)という。 <3―11月期営業益は23%減、北米が苦戦> 24年3―11月期の連結営業利益は前年同期比23.1%減の3154億円になった。海外コンビニの営業利益が32%減と大きく減益となった。北米ではインフレや高金利の環境下で所得減少による消費の二極化が進み、節約志向も顕著になっているという。生活防衛が影響している国内コンビニも8%減となった。 丸山CFOは「日米とも消費環境の悪化で厳しい結果となった。ただ、課題への対応の効果が出ており、着実に回復基調にある」とした。 国内では「価格が高い」というコンビニのイメージを払しょくするために始めた「うれしい値」という価格戦略により来店頻度や一人当たりの購入金額などが回復基調にあり、11月は前年を上回って推移した。北米では利益率の高いオリジナル商品の充実やデリバリー強化、コスト削減などの施策を進めている。 25年2月期通期の見通しは4030億円(前年比24.6%減)の従来予想を据え置いた。会社計画は、IBESがまとめたアナリスト17人のコンセンサス予想4344億円を下回った。