【陸上】クローズアップ/400m・中島佑気ジョセフ「覚悟を決めて、死に物狂いで」ブダペストの悔しさをパリ五輪にぶつける
ブダペストではコンディショニングを反省
ブダペストでは、手応えをつかんだ完成度の高いレースをぶつける場ではあった。だが、コンディション面にズレが生じ、そのすべてを発揮しきれなかったという。予選は3着通過。準決勝は2人が途中棄権となる中で、決勝進出にあと1人の3着だった。日本記録や44秒台も、ともに出場した佐藤拳太郎(富士通)、佐藤風雅(ミズノ)に先を越され、メダルを狙った4×400mリレーでも予選敗退。「本当に散々でした」と中島は心底悔しそうに振り返る。 「ブダペストでは、200m19秒台の選手もいる中で、前半のスピード勝負は厳しいと思っていました。だから、それまでの形を維持しつつ、なるべくエネルギーを節約して離されない位置でレースを進めて、ラスト150mぐらいで仕掛ける。フィニッシュラインの前で先頭を捕まえるという構想で挑みました。 ただ、体調を少し崩してしまって、調整がうまくいかなかったことを反省しています。それまではすごく良い状態でしたが、感覚など理想の状態と少しずれてしまいました。予選(45秒13で3着通過)も前半は予定通りでしたが、いつものラストの強さが発揮できず、逆に離されてしまった。今思い出してもその情景がフラッシュバックしてくるぐらい悔しかったです。 走る前に拳太郎さんが日本新(44秒77)を出したこと、風雅さんも44秒台に入った(44秒97)ことは知っていました。だから、流れ的に僕も絶対に(44秒台が)出るだろうなって思っていましたし、日本選手権は僕が勝っているので、2人の活躍が自信にもなりました。ただ、必要以上にプレッシャーを感じてしまった部分もあったのかな。 準決勝は、大外9レーンだったので内側は見えませんでしたが、途中棄権する選手が出たことはわかりました。ただ、そのまま集中して自分のペースで行こう、と。東京五輪金メダルのスティーブン・ガーディナー選手(バハマ)が200mを過ぎて内側から上がってきて、最後の直線に入るところでケガをしました。この時点でアメリカの選手が前に出ていて、ジャマイカの選手との勝負。千載一遇のチャンスじゃないですけど、『ここは絶対につかむぞ』と走りました。 でも、予選と同様に自分の思ったようなラストが出せませんでした。やっぱり、大事なのはリラックスと、力を加えるタイミングのバランス。『決勝進出』を、過度に意識してしまったかもしれません。 予選からの流れは、世界大会では特に大事。予選で自己ベストを出して1着、2着に入ることができると、余裕を持てますし、良いレーンに入ることもできます。準決勝は大外になって、自分のペースを作ることが難しかった。最低限、自己ベストを出せたことは決して悪いことではありませんが………。理想は予選から完璧に近いレースをしつつ、それを修正して勝負の準決勝、決勝で完璧なレースをすることです」