大学生の息子への仕送り。定年を迎えたので「月収15万円」になるのですが、これからも息子の生活をサポートできますか?
定年退職後にほかの仕事をしない場合、年金生活となって月収が大きく落ちるかもしれません。その場合、生活費はもとより、子どもの学費をねん出するのが難しく感じる場合があるでしょう。 今回のケースでは月収15万円ですが、平均的な数値で考えると、息子の生活をフルサポートすることは難しそうです。 本記事では、年金生活者が子どもの学費や生活をサポートできるか、統計の数字を用いて解説します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
親子の生活費は月いくら?
最初に親子の平均的な生活費をご紹介します。今回のケースでは親世帯と子世帯が分かれていますが、親世帯(65歳以上)は「単身もしくは2人世帯」、子世帯を「単身世帯」と仮定します。 ■大学生の生活費 独立行政法人日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査結果」によると、大学学部(昼間部)の平均学生生活費(学費+生活費)は年間182万4700円でした。月に換算すると約15万2000円です。 こちらの金額は国立・公立・私立を総合した平均値です。内訳の詳細は以下の通りです。 ・公立:133万6400円(月約11万1400円) ・国立:146万500円(月約12万1700円) ・私立:193万9600円(月約16万1600円) もっとも安い公立でも、平均的に月11万円以上の学生生活費が発生します。 ■高齢者世帯の生活費(夫婦2人を想定) 総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯の家計状況は表1の通りです。 表1
出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要」を基に筆者作成 仮に今回のケースで親世帯が夫婦2人の場合、年金額月15万円に対して消費支出は23万円を超える想定です。この場合、子どもの生活のサポートはおろか、自分の世帯も大赤字になってしまうでしょう。 実際には、この平均値よりもずっと消費支出は少ないかもしれませんが、息子の世帯をサポートする余裕があるとはいいがたいでしょう。 親世帯が夫婦ではなく単身の場合、年金額月15万円に対して消費支出は14万3139円であり、自身の世帯では赤字を回避できています。しかし息子の生活のサポートを、余裕で行える額とは考えにくいです。