「妊娠中にするのが好きなんだろ?」体を張って夫の機嫌を取りつつ「多産DV」を否定する30代妻の言い分
少子化の流れを食い止められない一方で、「多産DV」という社会問題が身を隠すようにして存在していることをご存知だろうか。 この記事の他の画像を見る 危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、多産DVについてこのように忠告する。 「多産DVとは、避妊なしで行為をしたいパートナーなどから女性が次々と妊娠を強いられる「虐待」のことをいいます。愛の行為の結果として妊娠があるため、外側からは虐待に見えにくいのが特徴です。 また、妊娠を強いられる女性自身が虐待に気づいていないケースも多いと聞きます。幸せな家庭の象徴としての『子宝』ですが、実は夫婦の支配関係や心の病巣に起因している場合もあるので注意が必要なんです」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今回、子だくさんだけを理由に「多産DV」と誤解されることへの「反発心」を語ってくれたのは、33歳で第5子を妊娠中の西浦温子さん(仮名)。人口40万都市で夫と4人の子供と暮らす専業主婦である。 「ほんの少し前までは『この少子時代にたくさん産んでエラいね』とよく言われました。今もたまにそう声をかけてくれる人はいるけど、大体そう言うのは年寄りですね」 最近少しずつ「多産DV」という言葉が広がり始めていることを「迷惑に感じる」と切り捨てる温子さん。 「多産DVの意味を最近知ってびっくり。コミックか何かでそういうのを見たらしく、友達が冗談めかして言ってきたんです『まさか温子んちって多産DVじゃないよねえ』って…。めちゃくちゃムカつきましたよ」 避妊を嫌がるなど、パートナーの「一人よがり」なセックスを通じ、望まない妊娠を繰り返さざるを得なくなる。また、繰り返し妊娠をさせ自分のそばに置く、働かせないといった「束縛」が見られるタイプもあるという多産DV。被害者の中には中絶経験者も少なくない。 「私は流産はしたことがあるけど、中絶はしたことがないですし」 そこを声を大にして言いたい、という温子さん。 「望まない妊娠なんて全くしてないですよ。だから多産DVなんかじゃない。妊娠が判ると毎回めちゃくちゃ喜ぶし、夫も喜んでくれます。『ヤる』のも好きかもだけど、夫も子供の多い賑やかな家庭を望んでいたので…」 しかし、温子さんはここまで話してきた中で、自分の中の「ある気持ち」に気づいた、と言って暫く黙り込み、再び重い口を開いた。 「妊娠した時は凄く嬉しいけど、産んだあと物凄く寂しくなるんですよね。悲しくて、早くまた妊娠したいと思う」 その気持ちがどんなものなのか、もう少し詳しい説明を求めると… 「単純に十月十日一緒だった赤ちゃんがお腹からいなくなって寂しいというのもあるけど、妊娠中にみなぎってた『多幸感』がなくなるのも寂しい。妊娠してると夫も義両親も優しいし、出かけた先の通りすがりの人も親切で、妙に幸せなんですよね」 夫婦間の性行為においても、妊娠中は夫のニーズに完璧に応えられるという。 「変な話ですけど、妊娠中って体調さえ良ければ普通に性行為ができるじゃないですか…。しかも、妊娠を心配せず生でヤレるから、夫がめっちゃ機嫌が良くて、凄く優しくなるので安心します」 これまで4人出産した温子さんは、妊娠中の性行為にも慣れたものだという。 「気持ちいいか良くないかは、妊娠ごとに違うんです。最初に妊娠した時は、マジでしたくなくて…でも夫が毎日のようにしたがるから、やってばっかりいました。で、それと関係あるかどうかはわからないけど、一回目は流産だったんです」 したくない時に「したくない」と断らないのか。 「イヤがるとめちゃくちゃ不機嫌になって、『わかった。風俗のねえちゃんにヌイてもらってくるわ。お前ははここで俺がよそのねえちゃんヤッてるとこ想像しながら待ってろ』って服を着て出かけようとしたりとか」 性行為を断られ、機嫌を損ねて女性に圧力をかけることは、まさに「DV」であるのだが、かたくなにその可能性を否定する温子さん。 「本当は私はすごくやきもち焼きで、夫のことがめっちゃ好きなだけなんじゃないかなと思う。DVとか言うのだけはやめてくださいよ」 しかし、温子さんのその後の継続的な妊娠・出産生活について話を聞くうち、これはやはり単に「子だくさんな幸せ家族」と呼ぶには無理がある、という気持ちにさせられることに…。巧みな駆け引きで「自分勝手な性行為」を繰り返す夫、たくさんの孫の誕生を手放しで喜ぶ義両親、そして温子さん自身の中にある「病理」とは? 後編にて詳報する。 ※この記事は取材に基づいていますが、取材対象者保護の観点から必要に応じて編集を加えておりますことをご理解ください。 取材・文/中小林亜紀 PHOTO:Getty Images
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