食事や水分補給を工夫して

――どんなところで感染することが多いですか。 手足口病は飛沫（ひまつ）感染、経口感染、接触感染します。空気感染はせず、発症までには3～4日ほどの潜伏期間があります。ウイルスは1カ月ほど便から排出されるので注意が必要です。 特にかかりやすいのは、集団保育を受けているお子さん。小学生でも特に就学前に感染をしたことがないお子さんはかかることがあります。 ――どのように治療をしますか。 ウイルスに対する特効薬はないので、対症療法を行います。熱があれば解熱剤を、口の中の痛みがひどく、食べたり飲んだりすることが難しければ鎮痛剤を処方します。 食事や水分が取れなくなることが厄介な病気ですので自宅でのケアも工夫しましょう。たとえば食事はなるべく刺激のない、のどごしのよいゼリーやうどんなどがおすすめです。果物は口の中の水疱がしみるかもしれません。 水分をしっかり取ることも大切です。経口補水液を与えるのもよいのですが、実は子どもが好む味ではないこともあります。口の中の痛みで水分がなかなか取れないときは、大好きなジュースやお茶など飲めそうなものを試すと良いと思います。 ――登園・登校の基準や、保育園や学校などで気をつけるべきことはありますか。 厚生労働省のガイドラインでは、保育園への登園を再開する目安として「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」と定められています。しばらくウイルスが便から排出されるので保育園側には感染したことを伝え、登園後に必要な登園許可証の有無なども含め対応について確認しておきましょう。 ――手足口病の感染を防ぐ手立てはありますか。 手足口病を引き起こすウイルスは感染力が比較的強く、アルコール消毒が効きづらいです。予防はなんといっても手洗い。せっけんをつけてよく手を洗い、流水でしっかり流すことを徹底しましょう。 また、免疫を高めるために、よく寝て、よく食べるという基本的な生活習慣を乱さないことも大切です。 ――「子どもから感染して、ひどい目に遭った」という声もよく聞きます。看病の時はどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。 どんなウイルスであっても免疫がない場合、一般的に大人のほうが強い症状が出ます。寝不足や疲れがたまってくると、感染しやすくもなります。大人も日ごろから体調を整え、子どもを看病するときはマスクを着用し、手洗いやうがいといった基本的な感染予防対策を心がけましょう。