秋になっても続く「手足口病」の全国的流行、今年は2度感染も いちばんの予防法は？
子どもがかかる「夏かぜ」のひとつ「手足口病」の流行が10月に入っても続いています。症状や予防法、治療について、有明こどもクリニック豊洲院で院長をつとめる村上典子医師に聞きました。
【話しを聞いた人】医師 村上典子さん
（むらかみ・のりこ） 有明こどもクリニック豊洲院長。国立病院機構東京医療センター、イムス三芳総合病院、明理会中央総合病院の小児科で経験を積み、2019年から同クリニックで診療にあたる。3児のママ小児科医としての経験を生かし、YouTube「のりちゃんの子育てチャンネル」などで子どもの健康や子育てに関する情報発信も行う。
激痛で食事が取れなくなることも
――手足口病の感染者数が増加傾向にあります。日々の診察で、気になる感染の動向はありますか。 5月中旬ごろから手足口病の患者さんが増え始め、6月3週目に入ると1日に20人以上診る日もありました。今年はワンシーズンに2度感染するお子さんが多いのが特徴です。 ワンシーズンで複数回感染するのは、これまであまりないことでした。同時に違う型のウイルスがはやっているのでしょう。コロナ禍でウイルスに触れる機会が少なかったことも影響しているのかもしれません。 ――一度免疫がついても再感染してしまうのですか。 ウイルスの型がちがうと感染します。手足口病を引き起こすのはコクサッキーウイルス、エンテロウイルスという二つのウイルスで、これらのウイルスにはたくさんの型があります。1回そのウイルスに感染すれば免疫がつくのですが、免疫をもっていない型のウイルスに感染すると再感染します。 原因となるウイルスによって、強く出る症状も異なります。ただ、感染したウイルスの型が違っても免疫の対応力は強くなっていくので、かかればかかるだけ軽い症状で済むことが多いです。 ――手足口病の典型的な症状について教えてください。 38度未満のそれほど高くない発熱と、手のひら、手の甲、足の裏、足の甲、口の中やのどの奥、肛門（こうもん）の周りに水疱（すいほう）性の丘疹が現れます。丘疹は大きくて2～3ミリほどで、触ると痛みを伴います。重症化することはまれですが、特に口の中に水疱ができると激痛で、食事や水分が取れなくなることがあります。 丘疹は複数の箇所に現れることが多いですが、一部位だけということもあります。症状も、発熱しなかったり、おなかの痛みや軟便、せきや鼻水が出たりとそれぞれです。治癒後に爪がはがれることもあります。
