虎のソナタ トラ番サブキャップことしの漢字は「緊」 難攻不落(?)な岡田番…緊張しっぱなし
ことしの漢字は、案の定、大本命の「金」だった。史上最多の5度目。五輪の年は、このまばゆい1文字が必ず選ばれる〝決まり〟になってしまったようだ。 今までだったら、「ワンパターンやなぁ。ホンマに日本人は金メダルが好きやで」とあきれ気味に書いたかもしれないが、ことしはちょっと違う。やっぱり「金メダル」はすごい。それを知ってしまったのだ。 レスリング女子76キロ級の金メダリスト、鏡優翔さんが甲子園で始球式を行った。9月3日のこと。大役を果たし、報道陣に囲まれて感想を話した直後に、鏡さんが「みなさんも触ってみますか?」とトラ番の前に、あの金メダルを差し出してくれた。アッと驚く太っ腹なメダリストの話は、この「虎のソナタ」でも紹介した。 ホンモノの「金」を触って、ズシリと重みを感じた時点で、虎ソナのことしの漢字は「金」に決まっていたのかもしれない。4年に一度、「金」でいいじゃないか! そう思う。 その時、一緒に幸運のメダルタッチをしたのがトラ番サブキャップ・原田遼太郎だった。当然、原田もことしの1文字に「金」を選ぶと思ったら、キンはキンでも、違うキンを選んできた。 「ボクの漢字は『緊』ですね。とにかく、緊張の一年だったので」 ことし1月からサブキャップに昇格した原田。そこに待っていたのが岡田前監督(現オーナー付顧問)だった。日本一に輝いた2023年も原田はトラ番だったが、監督取材をすることはなかった。「原稿に監督の談話を入れるケースも、文字になった談話を書き入れる作業だけでした」。それが、今度は自分が質問して、言葉を引き出す立場になったのだ。 ベテランの他社キャップ陣に囲まれて、年下の新米サブキャップが「緊」張するのは当然だ。まして、取材対象は難攻不落(?)の、あの岡田監督なのだから。下手な質問をしたら「おまえ、そんなことも知らんのか!」という態度で木っ端みじんにされる。つまらない質問を繰り返して、まともに返事してもらえなくなった記者もいた。大変なのだ。岡田番は。 「どういう聞き方をしたら、いい答えをしてもらえるのだろうか。負けた試合後は、どう切り込んだら返事をしてもらえるのだろうか。一年間、ずっと緊張しっぱなしでした。新入社員時代に、メチャクチャ緊張しながら取材したことを思い出しながら、ずっと過ごしていましたね」