2メートルの巨大クラゲ、日本海に大量発生 定置網などに引っかかりまくり、漁師ピンチ【動画あり】
京都府周辺の日本海で大型クラゲ「エチゼンクラゲ」が8月中旬以降、大量に現れ、定置網漁や底引き網漁に悪影響を及ぼしている。全国での報告個体数は大量発生した2009年に次ぐ過去2番目に多いペースで推移しており、府内の漁業関係者は漁獲量減少や操業の遅延などに頭を悩ませている。 【現場動画】巨大クラゲを網から取り除くのめっちゃ大変 エチゼンクラゲは最大で傘の直径2メートル、体重200キロにも成長。黄海や東シナ海で発生し、対馬暖流に乗って日本海を北上する。京都沖では2000年代に大量出現し、漁獲量減少や漁具破損などの被害が出た。 漁業情報サービスセンター(東京都)によると、今年は長崎県対馬市沖で6月24日に初確認された。全国での報告件数は約9万個体(8月29日まで)にのぼり、約22万個体だった09年の次に多くなっている。 京都府では7月17日に伊根町の定置網で初報告された。京丹後市や舞鶴市で報告が相次ぎ、8月中旬以降には京丹後市で200個体が現れた。府海洋センターによると、府内での報告数は昨年2個体だったが、今年は9月中旬までで2千個体を超えた。例年より多いが09年ほどの被害は出ていないという。 京丹後市久美浜町沖で定置網を営む湊漁業では9月上旬から百個を超えるクラゲが網に入った。16日から定置網にクラゲを分離する粗い目の網をつける対策を取った。クラゲを逃がしてから漁獲作業を始めなければならず、取りきれないクラゲが魚をすくう大型網にも混じるため、手作業で除去にあたっている。河口佳広・業務部長は「対応で操業時間が延び、暑さもあり負担は大きい」と嘆く。 漁業情報サービスセンターは「日本海に大量に入っているが、09年に比べて沖合に分布している。沿岸には風や海流によってスポットでやってくる。初捕獲の日が早く、個体が1メートル近くに成長している」と警戒を呼びかける。 今月解禁の底引き網漁でも影響が出ている。舞鶴市の底引き網漁船「大和丸」の熊谷謙船長(44)によると、1回で20~30個、多い時で百個以上が網に入る。網に負荷がかかり、除去作業に1時間以上かかることもある。旬の高級魚ノドグロの漁場でも発生しているという。クラゲが網に入る分だけ魚が減るため、熊谷船長は「例年よりだいぶ漁獲量が少ない」と話す。府水産課は「大きな漁業被害が出ないか、今後の状況を注視する」としている。