ロシアのプーチン大統領、国防相と安全保障会議書記を刷新
(ブルームバーグ): ロシアのプーチン大統領は安全保障と防衛の部門で政府の中心人員を刷新した。ウクライナでの戦争が2年余り経過する中で、予想外の部分改造となった。戦時経済体制での成長に重点を置く動きを示唆するものだ。
プーチン大統領はアンドレイ・ベロウソフ第1副首相(65)を国防相候補とする人事を上院に提案し、現国防相のショイグ氏(68)はプーチン大統領の長年の盟友に代わって安全保障会議書記に就任する。
ベロウソフ氏は経済学者で、第1副首相を務める前はプーチン氏の経済補佐官を務めていた。プーチン氏がキャリアのエコノミストを国防相に起用するのは初めて。
2012年から国防相を務めてきたショイグ氏は、プーチン氏の命令によりニコライ・パトルシェフ氏の後任として安全保障会議書記に就く。パトルシェフ氏は現職を解任され、別の職務に就くという。
23年6月に民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が起こした反乱では、ショイグ氏がターゲットになった。同氏はシベリアでの狩猟や乗馬の旅に同行するほどプーチン氏に近く、20年近くロシア非常事態省のトップを務めていた。
ロシアは最近、前線で限定的な前進を見せている。一方のウクライナ軍は兵器と人員の不足のほか、防空システムで問題を抱える。ロシアはウクライナ領土の約20%をコントロールしているが、進軍ペースは慎重だ。プーチン政権は22年9月に30万人を招集し国民感情を損ねているため、再度の招集に消極的になっている。
セントロクレジット・バンクのロシア担当チーフエコノミスト、エフゲニー・スフォロフ氏は「経済の主要な推進力として軍産複合体の役割を強化するのが刷新の狙いだ」との分析を示した。
プーチン氏は7日に大統領として5期目の就任宣誓を行ったばかりで、最新の人事は現行の担当者によるウクライナでの戦争遂行に不満を示すものとも見受けられる。ショイグ氏の側近だったイワノフ国防次官が収賄容疑で拘束された後、国防関連の顔ぶれの刷新は急務となっていた。