ボイジャー1号、通常運用を再開–47歳の探査機は地球から250億キロを航行中
米航空宇宙局(NASA)は米国時間11月26日、探査機「Voyager 1」(ボイジャー1号)の通常運用が再開されたと発表した。 太陽圏を脱出し恒星間空間を飛行しているVoyager 1は、技術的な問題から通信が途絶。11月には使用していなかった「Sバンド」の送信機を使うことで通信を再開することに成功した。 NASAによれば、Voyager 1のチームは「Xバンド」の送信機を再起動させることで、11月18日の週に稼働中の科学機器4台からのデータ収集を再開した。現在はVoyager 1を問題発生前の状態に戻すため、搭載されている3台のコンピューターを同期させるシステムをリセットするなど作業を完了させているという。 Voyager 1には原子力電池が搭載されているが、その発電量は年々低下している。航行に不可欠でない機器をシャットダウンしており、現在は4つの科学機器で星間空間の粒子、プラズマ、磁場を研究している。 運用チームがVoyager 1のヒーターを作動させると、故障保護システムがXバンド送信機を停止してしまった。故障保護システムは、電力不足を感知すると、重要な機能に電力を供給し続けるために、航行を維持するのに不可欠でない機能を自動的にオフにするという仕組み。 Voyager 1は現在、科学観測機器以外のすべての機能はオフになっているため、故障保護システムはXバンド送信機の電力をオフにして、より消費電力が少ないSバンド送信機がオンになってしまった。 1977年9月5日に打ち上げられたVoyager 1は、2012年8月25日に太陽圏を脱出し、星間空間の航行に入った。現在は、地球から約154億マイル(249億km)離れた空間を航行している。
塚本直樹