進行した歯周病を治療するには/歯学博士照山裕子
「100歳まで食べられる歯と口の話」<41> 成人の多くが何らかの歯周病に罹患(りかん)していることが統計学的に明らかになっている現代では、早期発見と治療が重症化予防の鍵です。「歯周病かも」と思った場合にどのようなクリニックを検討したらよいか、悩まれる方も少なくありません。 歯周病の特徴は、その人自身の抵抗力によって進行具合が異なる点です。おおまかに捉えると年齢を重ねる度にリスクも上がるので、まずは普段のセルフケアを丁寧に診て、指導してくれるクリニック選びがマストです。 歯根の表面にどの程度歯石がついているか、どの部分の骨が痩せてきているかなど、画像診断で正確な情報がつかめると戦略が立てやすいです。3次元で撮影できる歯科用CTがあれば個々の歯の状態が把握できます。 また、近年急速に普及しているのが手術用顕微鏡や拡大鏡です。歯科医師はこうしたツールを活用し、磨き残しや歯石がないかをミクロに確認できる時代になりました。大変コストのかかる機器になりますが、精密な診察を心がけているかどうかというひとつの目安にはなるかと思います。 歯並びが乱れている人では歯周病は悪化しやすく、また思うような治療効果が得られにくい傾向にあります。より健康な状態に導くためには、かみ合わせの負担が一定の歯に集中しないように分散させたり、汚れがたまりにくい環境をつくるために歯列矯正を取り入れる必要も出てきます。かみ合わせを補うためにインプラント(人工歯根)を応用し、残っている歯にかかる負担を軽減させることもあります。 いずれの治療法も残っている天然の歯を死守するための助けとして行われるべきもので、歯周病の再発を防ぐメンテナンスも含めた長いサポート体制が必須です。日本歯周病学会等の専門医、もしくはこうした医療機関と連携を図っているクリニックに相談のうえ慎重に進めると良いでしょう。