阪神の主砲・佐藤輝明は必ず不調を脱する! 大学時代に見せていた「最適解を見つけるための探求心」【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.23』】
ドラフト前の打撃練習で衝撃の本塁打!
しかし、ドラフト前の取材でその見方が変わりました。 9月に取材が実現し、朝から奈良県の生駒にある近畿大グラウンドに向かいました。グラウンドを見るとすぐに佐藤選手の姿は分かります。187センチ94キロと他の選手と比べても身体の厚みが違うのです。 聞くとベンチプレスは130キロあり、チームの技術練習以外のほとんどの時間はウエイトトレーニングに充てて、この体格が出来上がったと思いました。 ランニング、キャッチボールなどの練習が終わり、ついに打撃練習になりました。佐藤選手の近くのゲージには、他の部員も集まります。あまりの打撃音に衝撃を受けました。次々と長打性の打球を放っていくのですが、なぜか首を傾げる佐藤選手。話を聞くと、調子はあまり良くないようでして、打ち損じの打球もありました。打撃練習の最後になると右中間にある得点板に直撃するホームランも打ちました。
この打撃練習を見て佐藤選手のスタイルを貫けば、プロの世界ではシーズン20本は打ってくれそうな予感がしました。同時に100三振以上もあるなと感じました。そして1年目から24本塁打、173三振と佐藤選手らしい成績を残してくれました。 打率も高くて、本塁打も多く打てて、三振も少ない確実性の高いスラッガーが理想です。 ただ、150キロ超えの投手が当たり前になり、高レベルになった現代の野球ではなかなか打率は残せません。それならば、パワフルなスイングで、三振が多くなっても、自分のスタイルを貫ける選手が生き残るのではないでしょうか。佐藤選手は三振が多くても割り切りが見えて、いざというときに豪打を見せていました。首脳陣もそれを理解して我慢強く使った結果が3年連続20本塁打につながったと思います。 今年はまだ3本塁打(6月7日現在)と苦しんでおります。大学時代に打撃フォームについて深く考えていたように、不調を脱する最適解を見つけているところではないでしょうか。 リーグ最下位の打率.220と貧打で苦しんでいる阪神ですが、この重苦しい雰囲気を振り払うような本塁打を多く放つことを期待しています。