【遺族年金】共働き夫婦だと遺族年金がもらえないって本当ですか?「遺族厚生年金」の仕組みをわかりやすく解説
遺族年金がもらえる人は?
遺族基礎年金は18歳未満の子がいる配偶者しか受け取ることができません。 そのため、年金生活を送っている高齢夫婦のうち一方に先立たれるケースでは、子どもがいても成人している場合が多いため、遺族基礎年金を受給することは稀でしょう。 遺族厚生年金は、子の要件がなく、厚生年金加入者の配偶者であれば、基本的に受給できます。 ただし、遺族である自分が老齢厚生年金を受給している場合は、その額と同額が支給停止となります。この点を次で詳しく解説します。
遺族厚生年金と老齢厚生年金の関係
遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方を受給できる場合は、自分の老齢厚生年金を受け取ることが優先されます。 そのため、遺族厚生年金の額が自分の老齢厚生年金の額よりも多い場合は、その差額が遺族厚生年金として支給され、遺族厚生年金の額よりも自分の老齢厚生年金の額が多い場合は、遺族厚生年金は支給されません。(全額支給停止) なお、65歳以上で夫婦共に老齢厚生年金を受給しているケースで、一方が亡くなり遺族厚生年金を受給できる場合は、次の(1)(2)のどちらか多い額が遺族厚生年金の額となります。 ・(1)遺族厚生年金(報酬比例の4分の3) ・(2)遺族厚生年金(報酬比例の4分の3)×3分の2 + 老齢厚生年金×2分の1 次章では、事例で実際の支給額を解説していきます。
事例で解説
たとえば、夫の老齢厚生年金の報酬比例の額が120万円だった場合、夫が亡くなり、妻が受け取る本来の遺族厚生年金は120万円の4分の3である90万円になります。 しかし、妻も老齢厚生年金を80万円受給している場合は、前出の(2)の金額を求めて比較してみる必要があります。 遺族厚生年金90万円の3分の2である60万円と、妻の老齢厚生年金80万円の2分の1である40万円を足すと100万円となるので、このケースでは(2)の100万円が遺族厚生年金の額となります。 次に実際に支給される金額を出してみましょう。 遺族厚生年金が100万円で、妻の老齢厚生年金が80万円なので、遺族厚生年金のうち80万円が支給停止となります。 老齢基礎年金を80万円とすると、80万円(老齢基礎年金)+80万円(老齢厚生年金)+20万円(遺族厚生年金の差額)の合計180万円がこの妻が受け取れる年金額になります。 この例では、妻の元々の年金額は160万円なので、夫が亡くなったことで新たに受け取ることができる年金は20万円ということになります。 仮に妻が専業主婦であれば、遺族厚生年金は90万円受け取ることができるので、合計170万円になります。