緊急時に看板→担架「AEDのように身近に」 滋賀の会社が普及促進
滋賀県草津市の会社が、緊急時に担架として使える看板の普及を進めている。AED(自動体外式除細動器)のように、人を助ける道具が身近にある環境をつくる――。大きなビジョンをもち、県外にも活動の範囲を広げている。 【写真】担架になった「タンカん板」。中央奥がクラウドナイン社長の和田法久さん=2024年11月1日午前11時32分、滋賀県甲賀市水口町水口、仲程雄平撮影 会社はクラウドナイン。広めているのは、その名も「タンカん板(ばん)」。開発・販売するきっかけは、社長の和田法久さんが3、4年前に遭遇した、ある出来事だった。 駅で小学生が転んでけがをした。だが、誰も手を差し伸べず、和田さんが駅員に引き継いだ。「人を助ける意識が薄くなっているのでは……」と危機感を持った。 困っている人と救助者の手助けとなるようなものを作れないか。普段は看板として宣伝、案内の役割を担い、緊急時には担架になって傷病者を安全な場所に移せる「タンカん板」を開発した。 災害時にも使え、防災教育や訓練にも活用できる。駅での体験から、子どもたちに人を助ける気持ちを育んでほしい、という願いも込めた。 仲間と2022年にクラウドナインを設立し、販売を開始。現在は、県内外の150~200カ所に設置されている。県内では県庁や草津市役所など、県外では京都の高台寺や東京の神宮外苑などにある。 「タンカん板」は1枚25万円(税別)。耐荷重量は100キロ以上。重さの制限はあるが、水にも浮く。フレームはアルミ製で、子どもも握りやすくなっている。看板は表裏で2パターン作れる。 和田さんは未来を見据えて、「災害時には子どもも活躍する。一歩踏み出して人を助けられる子どもが育ってほしい」と話す。企業に設置の協力を呼びかけている。問い合わせは同社(077・564・7268)。(仲程雄平)
朝日新聞社