BREIMENの高木祥太、hamaibaが語る「山一」の歴史
建物を壊すと 匂いや空気も消し去られる
高木 そんな山一がなくなるのは――近くには飲み屋があって、下は焼肉屋で、おそらくここ一帯をマンションとか住居にするんだと思うけど――しょうがないよね、とは思う。いいなとは思わないけど。そもそもこの街は俺の地元だから、お店や飲み屋がどんどん減っていって、いずれベッドタウンみたいになるのは寂しいけど、でも逆に「落ち着いていて住みやすい」という人もいると思うから。 hamaiba この建物がもはや生き残りだったというか。でもなくなることに関しては、寂しいなって思ったよね。しかも急に「出てください」という感じだったから、心の整理もできないままで。ただ、こういうタイミングじゃないと出られないと思うほど居心地がよかったから、「タイミングがきたな」という感じだった。渋谷とか横浜もそうだけど、いろんなところで都市開発がされてるわけじゃん。それを見て、「一回壊しちゃったら戻らないのに」とは思っちゃう。街って、不可逆なものだから。 高木 新しいものを作ることは簡単だけど、昔からの匂いとかいろんなものが染みついてるものって再現できないからね。だからヴィンテージギターとかヴィンテージベースってめっちゃ高いし。この家もそれなりにヴィンテージになってきてたから、ちょっともったいないなとは思うね。 hamaiba そうは思いつつ、平安時代とかの建物が残ってるかと言われると残ってないから、今までの先人たちも毎回「寂しい」って思いながら発展と進化が行われてきたのかなと思うと……諸行無常というか。 高木 さっき話したようなこの家のスタンス自体はどこでもできるしね。 hamaiba そうね。新居に移ったけど。 高木 でもなんかなあ……やっぱりこの家は普通じゃなかった気がする。引っ越し先を俺は「山二」って呼んでるけど、やっぱりちょっと違うというか。 hamaiba うん、思ってる。 高木 形を変えて続いていく部分もあるけど、この家での状況というのは、悲しいけどもう「思い出」になっちゃうね。多分、同じ形でそのままは続かないと思う。あと悲しいけど、年齢もあるよね。この年齢になっても変な遊びとかをまだやってる方だとは思うけど、やっぱり体力も落ちてきてるし。あとやっぱり暇だった。 hamaiba そうだね、時間だよね。 高木 だからいろんなこと込みで「山一時代」だったんだなって感じる。あんまり認めたくはなかったけどね。