ビジネス力を鍛える本の読み方とは?忙しい人におすすめの正しい読書術
読書は大切だと思うけど本に手が伸びない。なかなか1冊が読み切れない…。それはもしかすると、本の読み方や選び方を、自分で難しくしているせいかもしれません。ビジネスパーソンが多忙な中で効率的に本を読み、読書習慣を楽しみながら、知見を広げていくにはどうしたらいいのでしょうか。本の要約サービスを運営する、株式会社フライヤー代表取締役CEOで、大の本好きでもある大賀康史さんに、大人におすすめの読書術を聞きました。
ビジネスパーソンがもっと本を読んだ方がいい理由
残念なことに「日本人は本を読まない」と言われて久しいようですが、私は忙しいビジネスパーソンほどできるだけたくさん本を読んだ方がいいと考えています。 ◆自分が体験しきれない知識や経験を得られる 変化の激しい現代に、ビジネスパーソンが活躍していくためには、日々学ぶことが欠かせません。学びには「人から学ぶ」「体験から学ぶ」「本から学ぶ」などの方法がありますが、人に教わる機会や、自分の人生で体験できることには限りがあるものです。 それに対して本は、さまざまな作家や有識者、研究者が長い年月をかけて学んだことを、いわば結晶化したものです。1冊あたりわずか数時間の読書で、「すごい人」が人生を懸けて学んできたエッセンスを摂取し、体験だけではカバーしきれない知識や経験を「疑似体験」することができます。それによって、ビジネスで未経験の状況に遭遇したとしても、知の蓄積の中から回答や解決策を導き出すことができるようになるのです。
本は断トツに信頼性の高い学びのツールである
世の中には学びのためのツールやコンテンツが数多くありますが、本ほど時間をかけて制作されるものはないかもしれません。多くの本は出版までに数年の年月がかけられ、その間に著者と編集者が何度も打ち合わせを重ね、構成の見直しや原稿の修正、事実関係の確認や表現のチェックなど、非常に多くのプロセスを経て出版されます。世に出てからも多くの読者に評価され、後に改訂されることもあります。 その意味で本は、情報としての信頼性が非常に高いツールではないでしょうか。私は、今も本が学びの中心にあるのが自然なことだと思いますし、もっと多くの人に本を有効活用して欲しいと考えています。 ◆「本が読めない」のは読み方を間違えているから なかなか読書ができないという人からは、よく「読み始めても時間がかかる」「途中で挫折する」という声を聞きます。ここでの最大のつまずきポイントは「本は最初の1ページ目から真面目に読むもの」という思い込みではないでしょうか。まずはそこを改めましょう。 ◆小説とノンフィクションは読み方が違う 「でも、小説は最初からちゃんと読まないと話の筋がわかりませんよね?」というのは正解で、フィクションは、頭から順番にストーリーを追いかけていくのが楽しく読めるポイントです。ネタバレが怖いなら、事前に書評も見ない方がいいでしょう。 しかし小説以外のノンフィクション、例えばビジネスやサイエンス、哲学や生活などさまざまなジャンルがありますが、これらはみんな最初から律儀に読む必要はありません。私がおすすめする読書法は、まず本の概要を掴み、次に最も大切な中核部分、自分が興味を持った部分を優先的に読んでいくことです。 ◆最初に本の「幹」を把握するとスラスラ読める 本を手にしたら、まずタイトルと著者の略歴を見て、この本がどんな経験やモチベーションから書かれたものかを理解しましょう。次に目次をよく読んで構成を把握し、主要な主張が書かれた章がわかったら、そこを最初に読みます。そして頭の中に地図をつくってから、自分の興味が湧いたところを中心に読んでいきます。この読み方なら、むしろ積極的にネタバレを読むのがおすすめ。本の概要を知るために、書評を読むほか、私たちが運営する「flier(フライヤー)」のような本の要約サービスも活用できるでしょう。 このように「この本で何が得られるのか」を事前に理解した上で読み始めると、読むペースが格段に速くなり、吸収力も上がります。また、無理に全編を読む必要もありません。読書の時間は有意義ですが、一字一句逃さず読もうとするあまり、読みにくいところまで時間をかけると、逆にモチベーションが下がったり、途中で挫折したりしがちです。 本はもっと自由に気楽に、興味の赴くままに読んでいいのです。