【証言】日産元社長・西川廣人がはじめて明かした…私が目撃した豪腕カルロス・ゴーンの実像《ミーティングで、ゴーンが話していたこと》
---------- 高度成長、バブル、経営危機、V字回復、そしてゴーン逮捕──カルロス・ゴーン会長のもと、日産社長を務めた男はそのとき何を考えていたのか? 元・日産社長による衝撃の回顧録『わたしと日産 巨大自動車産業の光と影』が5月15日に刊行される。赤裸々に明かされる白熱の手記の中身を明かそう。グローバル化の渦中にいる全ビジネスマン必携の書だ。(文中敬称略) ---------- 【写真】GSとリーマン 投資ファンドを手玉に取った日本人がヤバすぎる
ゴーン会長とのガチンコミーティング
カルロス・ゴーンの名前を聞くと「豪腕」「ワンマン独裁者」というイメージをもつ読者が多いかもしれない。西川廣人・元社長の手記を読むと、ゴーンも人の話を聞く耳をもっていたことがうかがい知れる。 〈当時のゴーン会長は日産の実務については社長の私にほぼ委ねていた。 (略) 私は当時、会長のゴーンと毎月一対一でミーティングをしていた。私は「アライアンスには賛成だが、経営統合には反対」という立場でミーティングに臨んでいた。 ある日のミーティングのやり取りはおよそ次のような調子だった。 「ゴーンさん、あなたはよく分かっているでしょう。私がルノー・日産・三菱のアライアンスそのものには賛成なのだということを」 ゴーンが私の目をじっと見つめる。私は続けた。 「私自身はアライアンスをもっと発展させるべきだと思っています。この形態は、ほかには簡単にまねのできる仕組みではないし、自動車業界がさらに進化していく中で大いに強みになるとも思っています。それぞれの自立性を損なわずにアライアンスを組めば、スケールメリット(規模が大きいことによる優位性)を享受できるはずです」 「ああ、それはそうだね」 「これは単なる組織論ではないのです。ゴーンさん以下のメンバーで築いてきた一種の経験則であって、簡単にまねはできない。業界他社で、規模の面で将来に不安を抱える会社は、必ず魅力を感じるはずです。ルノー、日産、三菱だけでなく、さらに横に拡大していけるでしょう。そこには大いなる可能性があります」 「もちろん分かっているよ、サイカワサン」 こんな調子で、私は常に持論を述べていた。ゴーンもそれは十分に承知していたのである。〉(『わたしと日産』27~29ページ)
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