【ライブレポート】小林私、ツアーファイナルで弦交換
小林私のワンマンツアー「詩情充つ外殻」の最終公演が9月28日に東京・ヒューリックホール東京で開催された。 【写真】小林私の素足 「詩情充つ外殻」は、大阪、宮城、東京の3会場で行われた弾き語りツアー。ステージに登場した小林は、歌う前にまず語り始める。「今日、ダイジェストを撮りたいということで、カメラをずっと回されてるんですけど、楽屋でわがままをこねて。『もう出たくない』『仕事に行きたくない』って言ってました。まあ、バイトとかもそうですけど、始まったら終わるだけなんでね」とライブ嫌いをアピールしたのち、「加速」を披露。ステージに立ち込めるスモークが赤く照らされ、がなり声を上げる小林を取り囲んだ。 小林はヒューリックホール東京の最寄駅・有楽町駅について「一切の思い入れがない。意味がわからない。誰が何をしに来てるのかわからない」とコメント。さらに池袋駅について「池袋に行きたい奴なんかこの世に1人もいないじゃないですか。おかしいでしょ、あんな街」と畳みかける。話は再びヒューリックホール東京に戻り、小林は「全員同じエレベーターを使って来たからわかると思うんですけど、みんなプラネタリウムで降りる。こいつ、たぶん11階(ヒューリックホール東京)じゃね?みたいな奴が11階に残る。お前らのことですよ」と観客を笑わせた。 満を持して2曲目「香日」が始まり、早速弦を切る小林。ステージ上で弦交換が行われる。客席から「がんばれー!」という声が上がると、小林は「喋んな!」と応答。リラックスした空気の中、「Mold」が演奏された。 「線・辺・点」では曲中で演奏をストップさせて水を飲むなど、小林は自由奔放。裏声を交えつつ「冷たい酸素」を歌い終えた彼は、ゲームソフト「ポケモンユナイト」に関する愚痴を早口で捲し立てる。観客がポカンとしていることに満足した様子を見せ、大渕野々花への提供曲「夢.jpeg」をセルフカバーした。 ミラーボールの光が降り注ぐ中で届けられたのは、小林の友人が作詞した新曲「マフラー」。その後、小林はいったんステージ袖に消え、Mega Shinnosukeとともに再び姿を現す。2人のコラボ曲「私小林」がスタートすると、Mega ShinnosukeのDJプレイにあわせて、小林はロボットのように「私 小林 小林 私 私 小林」と連呼。そのシュールな光景が観客の視線を釘付けにした。 「並列」「暮らしの用例」を経て、小林は本ツアーを振り返り「今回、いろいろ縛りを設けていまして。その1つが、毎回新曲を下ろすこと。誰にも頼まれてないのにさ。みんなも頼んでないじゃん。だってライブで新曲なんか聴きたくないじゃん。なんの曲歌ってるかわかんないんだからさ。でもアーティストとしてやっていく以上、同じ曲ばっかやって、ライブをこなしていくっていうのは……まあ、いいんですけど……一応、作品を作って出さないと。だから『知らないなあ』と思いながら聴いてください」と丁寧に曲振り。この日に向けて書き下ろしたという新曲(タイトル未定)が情感たっぷりに歌われた。 「秋晴れ」が演奏され、残すところあと2曲となったライブ。小林は「やっぱりバイトと一緒ですね。ぼんやりしていれば終わる。ぼんやりはしてないんですけどね。まあ、ぼんやりしてるときもあります」と口数多く話し、“退勤“が近付く高揚感を隠し切れない。「花も咲かない束の間に」と「金平糖」を歌唱した彼は、深々とお辞儀をしてステージをあとにした。 ■ セットリスト □ 「詩情充つ外殻」2024年 9月28日 ヒューリックホール東京 01. 加速 02. 香日 03. Mold 04. 線・辺・点 05. 冷たい酸素 06. 夢.jpeg 07. スープが冷めても 08. マフラー 09. 私小林(produced by Mega Shinnosuke) 10. 並列 11. 暮らしの用例 12. 新曲(タイトル未定) 13. 秋晴れ 14. 花も咲かない束の間に 15. 金平糖